ホープ山への行軍
第25話 三人の聖女
「え?私も行くの?」
ニナは思わず訊き返した。
「私より若い聖女は全員来いってさ」
アイニは呆れたようにそう言った。
「なんであんなところに……」
シルヴァも眉根を寄せて文句を言った。
もちろんホープ山にあるノームの祠への調査である。ベリデオ帝国にとっては目的に近いものという認識だが、三人の聖女たちからすればただの田舎の祠である。
「まさかノームだからって金鉱でもあると思ってるのかしらねえ」
シルヴァは呆れたようにそう言った。
ノーム族というのは実在する人類の一種である。小さい身体を活かした地下開発を得意とする種族なのだが、当初その生態が誤解されて地底人扱いされ、さらにいくつかの経緯が複合し、現在では自称他称ともに「ノーム」となった種族である。もちろん伝承の大地の精霊ノームそのものではない。
「というかあいつら何を探しているんだろうね」
ニナは根本的な疑問を呈したが、アイニもシルヴァも答えようがない。
「さあ?いっそ金鉱でも出れば話が早そうだけど」
アイニは呆れたように言った。
アイニは、帝国軍は目当ての物を見つけるまで撤収はしないだろうと思っている。それが何だかは判らないが、それはどうやら四大精霊に関するものであるらしい。
四大精霊の神器だの宝物など聞いた事もないし存在するとも思っていないが、そうなると帝国軍も撤収するにできないだろう。なので妥協として金鉱なり何なりを見つけてそれを好きなだけ掘削して早く出てって欲しいのだ。
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