第19話 暇を持て余す聖女

あーひま!


聴取が終わるとニナは自分の部屋に戻ってベッドにひっくり返った。時刻はもう夕方であり今から何をするにも遅すぎるし、そもそも何もする事がなかった。


元々朝五時起きだったニナにとって、夕方とは普通の人の夜と同じ感覚である。しかし今はベリデオ帝国側の都合に合わせて朝七時起きになったので夕方は夕方なのだが、それも生活の激変により今ひとつ感覚がついて行かなかった。


──前ならこの時間に籠球バスケットボールを切り上げてたよなあ


ニナにとっては遅い時間でも、仲間たちにとっては早すぎる時間である。今なら本当に暗くなるまで一緒にやれていろんな出会いがあったかも知れないのに!


お勉強も賢所かしこどころが占領されてそれどころではなくなった。日々の神事も信者である住人が聖所に来れなくなって滞りがちだ。運動不足を訴えると敷地内での運動や散歩は許可してくれたが、乗馬までは許可されなかった。


つまり今のニナは、祝詞もお勉強もなくなった代わりに、お忍びの遊びも奪われて、結果的に時間を持て余しまくっているのだ。一日のうちで楽しみらしい楽しみと言えば、トマとの雑談と敷地内のマラソンくらいである。


なんか面白い暇つぶしはなかろうか、と悩むニナであった。

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