考古学者の驚き
第9話 予想外
「……君が、いやあなたが
ケレブは驚きながらその青年に問うた。
「……ああ、まあ、はい……」
青年はなぜかためらいがちにそう肯定した。
ケレブはいろいろと予測はしていたがこれは予想外だった。その青年はかなり若いし、それほど
「……あなたに依頼があるのだが、話を聞いてもらえるだろうか?」
ケレブは丁寧にそう言った。第一印象だけでは人は判らない。まずは常識的に接してみるべきだ。しかしその反応はこれまた予想外だった。
「受けます!」
まさかの即答である。そして青年は聞いてもいない事情を喋り始めた。
「いやあ助かりました!この前の仕事でやらかして報酬が半減しちゃったんですよ。この家のローンも残ってるし本当にどうしようかって思ってて。あ、やらかしたって言ってもアレですよ?奪還予定の居城を半分焼いちゃってその修繕費で持ってかれたんですよ!ひどくないですか!?そういう契約じゃなかったのに!」
とりあえずケレブにはいくつか判った事がある。この青年が「岩漿の異術士」だとしたら、予想より朴訥な性格で、かつ世慣れておらず、しかもかなりお金に困っているらしい。噂の実力はまだ判らないが、話を聞く限りでは嘘はないように思えた。
「ああじゃあ、まあまず、その、実力を見せてもらえないかな?」
足元を見たわけではないがケレブはやや強気に出た。この青年相手だとそういう方が話がうまく進むように思えたからである。
「了解です!」
青年も元気よくそう応じた。どうも誰かから指示されるのに慣れているらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます