第7話 聖女の事情

ニナ・コイヴは聖地ノレスの当代の聖女である。しかしもちろん何か特別な力がある訳ではない。大昔のご先祖様はそうだったらしいが、仮にそんなものがあったとしても、百代を超えるの歴史の中でそんな力は枯れ果てている。そんな事は聖地ノレスに住む人間なら誰でも判っている。


しかしそれでも民衆には象徴というものが必要なので、ニナの一族はこれはもう逃れられない運命と割り切って粛々と代々聖女を演じているのである。


ちなみにニナの一族の本姓はアハティサーリというのだが、今現在この姓を持つ人物は居ない。それが聖女の力なのかは不明だが、アハティサーリの血統は女系で、しかも結婚が聖女退位の条件なので、皆これと目星をつけた男とすぐ結婚して、妹や従妹にこの尊い立場をぶん投げまくるので、本姓を保つのが難しかったのである。


ニナは現在19歳で聖女歴わずか半年だが、彼女が聖女に叙されるまでに六回聖女が変わっっている。そして先々代の退位時にいろいろモメたのだ。

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