第30話 29 乾杯
コロッケ丼を食べ終わって、半分残った缶ビールじゃなくて発泡酒を少しづつ飲む。
「先週の話なんですけど」
「何?」
「私、性懲りも無く、また酔っ払ったみたいですね」
「ああ、でも、探し物が見つからん、ばっかり言うて、殆どワイばっかり喋べっとったで」
「そうなんですか、探し物ですか」
「覚えてへんし、見つかっても無い、みたいやな」
「はい、でも次の日の朝、希望って何かな?って考えながらミルクコーヒーを飲んでいました」
「まんざら、忘れ切ってた訳でも無いみたいやな」
「でも、見つかりませんけどね」
「あはは、そない簡単に見つかったら、めっちゃ、ちっちゃいもん、かもしらんで」
「でも、見つからないと何のために生きているのか分からなくなりそうで」
「今に、満足してたらええやん」
「そうですね、生きていられるだけで満足、それも良いですよね」
「もう一回、乾杯しょうか」
「はい、乾杯です」
そう言って、ぺペンギンさんはお猪口を短い翼で持ち上げたので、私も軽く500mlのビール缶じゃなくて発泡酒を持ち上げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます