第23話 22 弁当効果



 あれから葉子さんは、毎日お弁当を作ってくれている。

こんな関係をいつまで続けられるのだろうか?


 私は、お礼に現金など送ることもできず、作業用のジャンバーのポケットにお菓子を入れて、喫煙所で出会えばお渡しすることにしている。


 現金どころか、高級菓子なんか贈ろうものなら、馬鹿にしないで、と怒られそうな気がした。

じゃない・・・。

ぺペンギンさんが、葉子さんの息子さんように安い駄菓子を買って渡すのが良い、と言ったからそうしているだけ。

最初にお渡しした時は、え?、って言う顔をされたけど、今は気軽に、ありがと、と言って受け取ってくれる。


 そう、こんな関係をいつまで続けられるのだろう。

気軽でいて、互いに信頼し合えているような、そんな関係。

乾いた心に水を注いでくれているような。

氷で閉ざされていた心臓を取り出して両手で包んでくれているような。

これから寒くなっていく季節の中で私は守られているような気になっている。

いつまでも続いていて欲しい。

この冬を越せそうな気がする。

そして来年の春も、暑い夏も、何度も経験して行きたい。


 私は、生きることに、挑戦をしようとしているのか?

ならば、何に挑戦しようとしているのだ?

生きることの何に向かおうとしているのだ?

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