第23話 22 弁当効果
あれから葉子さんは、毎日お弁当を作ってくれている。
こんな関係をいつまで続けられるのだろうか?
私は、お礼に現金など送ることもできず、作業用のジャンバーのポケットにお菓子を入れて、喫煙所で出会えばお渡しすることにしている。
現金どころか、高級菓子なんか贈ろうものなら、馬鹿にしないで、と怒られそうな気がした。
じゃない・・・。
ぺペンギンさんが、葉子さんの息子さんように安い駄菓子を買って渡すのが良い、と言ったからそうしているだけ。
最初にお渡しした時は、え?、って言う顔をされたけど、今は気軽に、ありがと、と言って受け取ってくれる。
そう、こんな関係をいつまで続けられるのだろう。
気軽でいて、互いに信頼し合えているような、そんな関係。
乾いた心に水を注いでくれているような。
氷で閉ざされていた心臓を取り出して両手で包んでくれているような。
これから寒くなっていく季節の中で私は守られているような気になっている。
いつまでも続いていて欲しい。
この冬を越せそうな気がする。
そして来年の春も、暑い夏も、何度も経験して行きたい。
私は、生きることに、挑戦をしようとしているのか?
ならば、何に挑戦しようとしているのだ?
生きることの何に向かおうとしているのだ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます