第21話 20 お弁当



 「で、なんで笑っているのでしょうか?」


 ここまで来たら言うしかない。

今までの事は、包み隠さず何でもぺペンギンさんには喋ってきた。

でも、今回のことは、あまり言いたくなかった。

心の中を明かすようで・・・。


「実は・・・」


 それでも私は、今日のお昼の出来事を話した。


「ふーん、そう」


 あっけない返事だった。

何か、拍子抜けした気分だった。


「あの、それだけですか?」


「うん、弁当、作ってくれるんやろ」


「ええ、そういうことになっちゃって」


「あ、そ」


「済みませんけど、何か、他に反応とかないのですか?」


「無いよ」


「・・・・・・。」


「寝る」


「ちょっと待ってくださいませんか」


「何?」


「あれだけしつこく、私の笑顔の理由を聞こうとしていたのに、反応が薄っす過ぎるじゃないですか」


「あかんの?」


「駄目だとか、そう言う訳じゃなくて・・・」


「ええねぇ、自分だけ、お弁当、あるんや」


「ええ?」


「ワイなんか毎晩、魚屋の魚ばっかり、初めて白子、いう奴、食べさしてもうたけど。嫌いやないねんで、めっちゃ美味しかってんで」


「はぁ」


「魚屋で買うてきて、冷蔵庫に入れて、切るだけ。お弁当って、ええよな。しかも愛情たっぷりのお弁当って最高やんな。ワイ、魚屋で買うてきた魚、切るだけ」


「あのー、ぺペンギンさん、えーと、お弁当を本当に作ってくれるかどうかも今は分からないんです。でも、明日、本当にお弁当を作ってきてくれたら、ぺペンギンさんの分も作ってもらえるように頼んでみます」


「ほんまにー?」


「それは、間違いないです」


「絶対ーにー?」


「はい、今、ぺペンギンさんと約束しました」


「そうかー! 良かったやん、お弁当なんか作ってくれる人がおって。こりゃーめでたいわ」


「わかりやすい」


「今、何か言うた?」

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