第16話 15 未来



 私は今、ぺペンギンさんの前で胡座をかきながら話を聞いている。

ぺペンギンさんは、足が短すぎて、お腹に隠れてしまっていて、胡座をかいているのか正座をしているのか分からない。


「ええか、未来の話や言うてもお前だけの未来の話やない。お前を囲む人らと、その外側に居る人らや。未来、言うのんはな、一人で作れるもんやないんや。お前の未来を壊そうとしているように見える人らも、お前に協力しようとしている人らも、おんなじように歩いてるんや。別々の道やとか、方向が違うとかやないねん。譬へおんなじ道でも、方向がおんなじでも、其処には全く違うものがあるねん。道も方向もおんなじやったら同じこととちゃうのんか?って遼太郎は思うかもしらん。でもな、絶対に隔絶された違うもんがあるねん。それはな、次元や。全くおんなじ所におっても住んでる空間が違うんや。譬へば、花を見ても、赤が綺麗やな、とか、頑張って咲いとるな、季節を感じる人もいてるやろし、ただ単に花が咲いとる、だけしか思わん人もいてるやろ? それだけやない、見向きもせん奴も居てる。おんなじ世界に住んでても既に次元が違うからやねん」


「言っていることは分かりますが、あくまでも精神論にしか聞こえません」


「まぁ、焦らんと聞いてくれ。逆に言うたらな、お前が住んでる所からは絶対に会われへん人が居ったとしても感性が、思いが、同じやったら、その人とは同じ次元に住んでると思うてもええ。その思いが完成されて行って未来に繋がるねん」


「そんな馬鹿な」


「焦るなって言うたやろ? お前らは偶然を奇妙な巡り合わせやと捉えるやろ? でも其処には畢竟ひっきょうが有るねん。要するに必然や。世の中に偶然なんて、ほんまは無いねん。必然が重なり合って未来を作っていくねん。それが思いや。思いの同じものが融合していくねん。此の世界にある生き物、それどころか鉱物でさえも同じ性質のものが繋がりあっていくねん。今のお前には分かりにくいことかもしらん。でも、これだけは忘れんといて欲しいねん。悪い思いを持った連中には、悪い未来がやってくる。譬へどんなに悪いことでも、それが奴らの思いやから、奴らは自分のことを不幸とは思わへんやろ。お前はどうや? どんだけ辛い経験をしてきたかはワイには分からへん。でも死にたい未来を思った時、そんな連中の枠が出来上がる。今までお前は、その枠の中に居てたんちゃうかな?」


「・・・・・・・。」


「遼太郎、その逆を生きろ。どんな事があっても、真っ直ぐに、一点の曇りもない、自分に対して誠心誠意誠実に生きていけ」


「ぺペンギンさんも、やっぱり同じ思いだから私と出会えたのでしょうか?」


「それ、どう意味?」


「自殺願望があったから、とか」


「お前なぁ、一体どんな頭の構造してるのん? ど頭かち割って見てみたいわ。もうええ! 死んでこい! 許す! 今から死んでこい!」

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