第6話 5 幼少期



 私は、小学校に入ることになった。


 それでもやはり、感動できるようなこともなかったし、それに両親の夫婦喧嘩も続いていた。


 小学生になっても何んの目的もなく、目標がないから勉強もしない、楽しいのは一日中遊んでいること。


 家には帰りたくなかった。

朝ご飯は、夜遅くまで働いている母なので作ってくれる訳もなく、両親が寝ている中、自分で起きて小学校へ通っていたように思う。

そして三日に一度は、決められた規則のように夫婦喧嘩が始まる。

家は貧困であったため、全てはお金が無いせいだと思っていた。


 小学校の時、初めて苛めに会った。

それは、とんでもないことの始まりでもあった。

小学校を卒業して中学生になってからの事、苛めは再開した。


 なんてくだらない幼少期であったのだろう。


 ペンギンさんは黙って俯いている。

そうだろう、こんな話なんて聞きたい人がいるのだろうか。

誰も聞いてくれる訳なんてない。


「辛い話、聞かせてくれてありがとうな」


 ポツンとペンギンさんが呟いた。

私は不覚にも涙を流しそうになったが、この程度の会話なら堪えることができた。


「それから、辛いこととか、悲しいこととかが続いたんやろ? 聞かせてくれへんか? その中で時には喜びもあったやろ? 全部聞かせてくれへんか?」


 私は、泣いた。

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