第4話 3 小さな頃



 私の小さかった頃。

特別な生活をしていた訳ではない。

同い年くらいの子供たちと遊び、時には小競り合いをしたり、特別に楽しかった思い出はないが、特別に悲しんだりすることもなかった、そんなありきたりの小さい頃だったと思う。

そんなどうでもいいような話を小さなペンギンにしていると、ペンギンはゆっくりと頷きながら、


「それで?」


 と聞いてくる。


 私は、さらにあの頃を思い出そうとする。


「家族は、どうやったん?」


 そう云へば、私の家族は近所でも評判の家族であった。

夫婦喧嘩が絶え間ないくらいに起こる家族であっった。

それも近所の人が分かるくらいの怒声で。


「家族は、好きではありませんでした」


「話してみてくれるか?」


「はい」


 私は、幼かった頃の苦しくもあり、悲しくもある、自分にとっては辛かった子供の頃を少しづつ話し始めた。

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