狂の章
「よう、モテ男。」背中に軽い衝撃。
「やめろよ。」不機嫌そうに睨み付ける。友達だった。僕とは違って彼は活発で運動も勉強もそつなくこなし女癖の悪ささえなければと女子が言っているのをよく聞く。
「俺、多分いかない」
「おいおい冗談だろ?あーんなに雰囲気良かったじゃんかよ。まさかお前みんなの前で断ったら可哀想だからオッケーしたのか?」そいつは心底驚いたというふうにのけぞってみせた。「それ以外にある?」そんなことわかってる。だから敢えて横目で見ながら冷たくいい放つ。薄情とでも思われた方が楽だ。
「そっちの方が可哀想だろ。お前人を傷つけないことが善だとか思うなよ?」分かってる。「思うさ。大丈夫。俺にはあの女子を好きになる理由はない。」これは本当だ。
「いやわからんぜ。俺は現にこれで彼女がいる。だがな、ひとつ言えるのは男と女がいると絶対に垣根をこえる。」白い歯を見せて親指をたてる。「何だよそれ。ありえねー」はっとバカにしたように笑ってみせる。「怪物になるんだよ。」ドキッとし振り替えると睨まれた。ように一瞬見えた。「そんなんじゃいつまでたっても大人にならねーぞ。じゃな今日俺塾あるから」言葉を返す前に彼は片手をあげて走っていってしまった。遠ざかっていく背中にああ。とだけ返事した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます