第4話 出発前のあれやこれや

 しばらく休憩した後、吊るした鹿を見に行く。ドアを開けた瞬間、数匹の獣がみえた。どうやら血の匂いを嗅ぎ付けた狼のようだ。先手必勝と魔法を発動する。




「――ウォーターカッター!」




 後ろからの攻撃でほぼ反応できず二匹に当たる。




「ギャイン!」




「「――グルルル」」




 無事な二匹が振り返り、唸り声をあげ臨戦態勢に入る。




「――フラッシュ! からの~ウォーターカッター!」




 悲鳴を上げ、残りの二匹も倒れる。前回の反省で角度を変えて自分には、光が見えないようにしたので今回は大成功だった。一応、探索魔法で周りを見てみたが他に狼はいないようだ。




「狼も食べられるのかな? 血抜きした方がいいかな……?」




 一応、倒した狼も血抜きをすることにする。狼を吊るした後、地面に部屋の入口を作り鹿を中二階に運び込むというか落とす。それから一旦入口を消して普通の入り口から入り、料理スキルで手早く鹿の処理をする。骨と角は籠を作りその中にひとまとめにして入れおき、皮はなめした状態に加工して神聖魔法の浄化をかけておく。ふ~っ、これで衛生面は大丈夫だろう。 


 


 お腹も空いていたのですぐに食べることにする。一部は桶に入れて塩漬けしておく。残りの肉からステーキ分を少し切り塩をまぶして皿に乗せる。この部屋で料理をしたいけど、一酸化炭素中毒とかどうなの? 聞くの忘れたけど……。入口を締め切っていても、息ができているから平気だとは思うんだけど今回は外で作ろう。ついでにザルにお米も二合くらいのせて外に出る。


 


 鉄板が欲しい所だが肉は石の上で焼くことにして、お米は小さな窯と土鍋で炊く事にした。【ものづくり】で必要なものをササっと作り、火魔法で火をつける。時折、浄化も交えながら準備を続け、水魔法でお米を軽く洗い土鍋に入れ、窯にセットする。十五分くらいかな? その間に色々準備しておくか……。




 やはり地べたに座って食べたくないと思い、椅子とテーブルも作っておくことにする。鍋つかみ、鍋敷き、しゃもじ、茶碗、皿、箸と必要な物を思い付く限り作っていると、お米の炊ける良い匂いが漂い出す。


 


「そろそろかな」




 鹿の肉を焼けた石の上にのせ、おかずの準備を始める。美味しそうな匂いに気が付いたら、涎がたれていた。――いかんいかん。涎を拭きながら肉を裏返す。後はもう食べるだけだ。さっき作ったばかりの鍋つかみで、土鍋をテーブルの上の鍋敷きに置く。肉を皿にのせ、ご飯を茶碗によそう。




「いただきます!」




 勢いよく肉にかぶりつく。塩だけなのに何これおいしい。ご飯もうますぎる。思わず肉をもう一枚取りに行き、お米も完食してしまった。残ったらおにぎりにしようと思っていたのに……。まあ満足できたし良しとしよう。お米と肉はしばらく平気だけど野菜が欲しいな! 村に着いたら肉と交換とかできるだろうか……?




 ご飯を食べて落ち着いたので片付けを始める。部屋に狼を入れて、食器を浄化してそれも部屋にしまう。窯と肉を焼いた石は火を消して土魔法で分解して処理した。残りの木材とテーブルと椅子は、しまい易いように一辺三十センチくらいのサイコロ型にして中二階にストックしておく。




「外はこれで片付いたし、服を作るか!」




 中に戻り玄関で靴を脱ぎ、一階の方に入る。二階は動物の処理や木と石などの処理をやることにして、服などは一階で作ることにする。一階にも作業台を作りその上に、鹿の革、御使い様から頂いた反物とサイコロ型の木材を置く。まずイメージを高めるために、お手本のフィギュアをじっくり観察する。




 イメージが湧いてきたので生地の用意を始める。この反物は好きな素材、好きな色の生地が出せる何でもありな日本昔話仕様なので、濃いグレーの生地と暗めのエンジ色の生地を出す。グレーの生地で帽子と袖の広いローブを作る。ローブは一見した所、一色だがよく見ると同系色の糸で刺繍が細かく入っている隠れおしゃれローブである。




 続いてエンジの生地で、フード付きのマントと腰ひもを作る。腰ひもは細かく編んであり、ローブの腰部分に上から巻く予定だ。マントも思った以上に高級感が出てしまったが、汚らしいよりはいいよね……。次は鹿の革でブーツだが、尖らせた爪先を少し反らせた魔法使いっぽいのと、普通の物を一足ずつ作った。革が余っているので肩掛けの大きなカバン、ベルト、長くなった髪をしばる革ヒモも数本作ったが、それでも余った分は棚にしまっておく。




 最後にサイコロ型の木材を二つ持ってきて杖を作る。地面から目の高さぐらいの長さで、上の部分は木のコブの様にやや膨らみ、下にねじれながら細くなる感じで作る。よく考えたこれ要る? とも思ったが、形から入るにはとても重要なアイテムと判断し持ち歩くことを決断する。




 意外と簡単に全部出来上がったので、さっそく着てみる事にする。ローブをジーンズとTシャツの上から着て、髪を後ろでしばって帽子を被る。あれ? 着てみて思ったけど、これってワンピースじゃない? それにローブって前が開いていたっけ? まあこれで、いいか! すぐ直せるし! それよりも鏡が欲しい。確認できないじゃん……。




 その後も生地をまた何種類か出して、タオル、下着、Tシャツ、靴下を結構多めに作り、とりあえずタンスにしまっておく。ソファとベッドは中に入れる中綿がないと作れないしな……。ソファは狼の革でいいとして、中って普通は何が入ってるの? ん~! 急ぐ旅でもないんだけど、とりあえず狼の処理をして片付けたら、出発するか! 




 そう決めると気合を入れて、帽子を脱ぎ作業台に投げ、狼の処理に向かった。





名前:ケイ 

種族:人間 

年齢:14歳

LV:7

HP 170/170

MP 158/280 +50

STR   37

VIT   48

INT   98 +10

DEX   40

AGI   33

RES   54 +10

LUK   45 + 5


≪ユニークスキル≫


 【秘密の部屋】

 【魔法全適性】 

 【ものづくり】


≪スキル≫


 【料理Lv10】

 【言語理解Lv10】

 【神聖魔法Lv10】

 【水魔法Lv1】

 【火魔法Lv1】

 【風魔法Lv1】

 【土魔法Lv1】

 【光魔法Lv1】

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