第1話 狐の正体とスキル
光に包まれて意識を失った所まではどうにか思い出した。そしてこの狐の正体も予想がついてきた。
「どうやら、思い出したようじゃな」
狐が毛づくろいを止めてこちらを見つめる。その後は何も言ってこないようなので、質問してみる。
「あの私の友人はどうなったのでしょうか?」
「……お主よりも先に、神隠しにあってしまったようじゃ」
あの二人はオレを驚かそうとして後ろから近づこうとした時に、声を発してしまったらしい。同じ世界に来てるとは限らないし、同じ世界であってもかなり広いので会うのは難しいだろうとのことだ。何やってんだよ! あいつらは自業自得だな、心配して損した。
どうやら質問を待ってくれているのか、こちらを見つめるだけで狐は何も言わずに座っているので気になる事を聞いていく。
まず狐の正体だが稲荷神社と白い狐を結び付けて、お稲荷さまなのではないかと予想していたが、お稲荷さまは穀物などを司る神で狐ではないと教えてくれた。そして狐の正体は神様の眷属で、簡単に言うと神様の使いらしい。
そしてオレの方の状況はというとギリギリ鳥居のトンネルを通り抜けたが、振り返った事で成功と失敗の両方の判定を受け神隠しにもあってしまったようだ。後付けルールや神隠しは半信半疑でも多くの人間が信じたことにより力を持ち、現実の物になってしまったのだろうとのことだった。
少なからず神隠しの原因に自分の神社が関わってしまった事に、心を痛めたお稲荷さまが願いを叶えて、助言を与えるために御使い様を送ってくれたらしい。
「えっ! ……願い事が叶ったんですか?」
「お主は神聖魔法の鑑定が使えるようになっとるはずじゃ」
神聖魔法? 戸惑いながら呟く。
「――鑑定」
頭に自分のステータスが浮かぶ。
「口にしなくとも発動できるぞ!」
と言われちょっと恥ずかしくなる。
名前:ケイ
種族:人間
年齢:14歳
LV:7
・HP:体力 170/170
0になると死亡・戦闘不能になる。
・MP:魔力 280/280
0に近づくほど正気を失う。RESが高いと正気を保てやすくなる。
・STR:筋力 37
身体能力・物理攻撃力に影響がある。持てる武器の重量・アイテムの最大所持量にも影響する。
・VIT:生命力 48
HPの最大値・スタミナ・物理攻撃に対する防御力に影響がある。状態異常耐性にも影響がある。
・INT:知力 98
MPの最大値・魔法の攻撃力・回復量・その他の効果の上昇。MP消費量の減少。
・RES:抵抗力 54
魔法に対する防御力・精神力。魔力欠乏時の正気度に影響がある。状態異常耐性にも影響がある。
・DEX:器用さ 40
遠距離武器の命中率・罠の設置・解除などに影響がある。生産スキル(技術・作業)に影響がある。
・AGI:素早さ 33
行動速度・回避率に影響がある。
・LUK:運 45
クリティカル率・ドロップ率・アイテムの効果及び運にかかわるすべてに影響がある。
≪ユニークスキル≫
【秘密の部屋】
【魔法全適性】
【ものづくり】
≪スキル≫
【料理Lv10】
【言語理解Lv10】
【神聖魔法Lv10】
願い事は何を言ったか憶えていないけれど言ってみるもんだ。結構な数のスキル貰えたのではないだろうか。鑑定をみながらあれこれ考えていると、御使い様がステータスの話をしてくれた。この白い部屋はユニークスキルのおかげで、年齢はこちらの世界の成人の年齢にしてくれたらしい。後は分からない事があったら、鑑定してみるといいそうだ。
とゆ~か若返ってたのか! こっちの成人が十四歳って噓でしょ! 中学生二年生くらいの社会人がいるってことだよね。かなりトラブルの予感がする。
「では外に出てスキルの練習じゃ!」
御使い様の言葉に従いドアに近づき開けると、外は鬱蒼とした森が広がっていた。若干、薄暗いが神聖な何かを感じる。後ろを振り返ると御使い様が横を通り抜けて先に表に出ていったので、慌ててそれに続く。どうやらスキルの使い方を教えてくれるらしい。まずユニークスキルだが、レベルアップに必要な経験値が手に入らないという軽いデメリットに対して、魔力を使わず強力なスキルや特殊なスキルが使えるというとんでもスキルらしい。
続けてオレが使えるスキルの話を聞いていくと、どうやら今いた部屋が【秘密の部屋】らしい。どこにでも想像した形の入口を出現させられ、あの部屋に入れるようになるスキルだ。入口は一箇所しか作れず、その場所からしか出られないので作る場所には注意が必要だろう。そして、入口は閉めると外からは見えなくなるそうなので、危ない時に逃げ込むシェルターとしても良いかもしれない。
二つ目のユニークスキルは【魔法全適性】でこれは読んだままだそうで、すべての魔法を使える素質のような感じだ。一応、生活する上で必要な魔法は持っておいた方がいいだろうという事で火、水、風、土、光の操作を教えてもらった。鑑定をして確認するとすべてLv1になり、表示されていた。またステータスのMP、INT、RES、LUKの横にはグレーアウトでプラスされた数字も表示されている。まだ条件を満たしてないのか足されてはいないようだ。
御使い様に尋ねるとスキルのレベルが上がると、それに関係するステータス値が上昇するらしい。その数値はグレーの半透明で表示され一晩寝たら足されるそうだ。さらにステータスをみながら魔法を個別に鑑定してみるように言われる。早速、鑑定してみると追加情報が頭に浮かぶ。
火魔法Lv1――火の操作・発現――ファイアボール
風魔法Lv1――風の操作・発現――探索魔法
水魔法Lv1――水の操作・発現――カッター
土魔法Lv1――土・鉱石の操作・造形――ウォール
光魔法Lv1――光の操作・発現――ライト
操作を教えて貰っただけなのに、もう魔法も使えるようになっているとは……。神聖魔法Lv10も鑑定する。
「えっ!」
鑑定結果をみて固まる。御使い様に視線を向けると、ただ座ってこちらを見つめていた。
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