第3話

休日のショッピングモール。

普通の高校生なら友達と来るであろうこの場所に今私はお姉ちゃんと来ている。私から頼んだ。家にいても居心地悪いし、どうせなら本屋に行きたいと思ってやってきた。ただ恥ずかしい話、一人で来るのは気が引けて、でも誘うような友達もいないから仕方なくお姉ちゃんを誘った。

「じゃあ、私服見てくるから。さっき買った本でも読んで待っててよ。」

「わかった。」

別に服に興味はないから大人しく待っていることにした。適当に買った本を読み始める。


どのくらいそうしていただろう。ふと馴染みのある声が人ごみから聞こえてきた。目を向けると友達と楽しそうに笑っている彼がいた。こっちに向かってくる。幸い私に気づいている様子はない。ばれないように顔を伏せる。

彼の眼が私を捉える。はい、ばれた。絶対ばれた。

でも彼の眼はすぐにそらされた。

ほっとするような、ちょっともやもやするような。

「おまたせー、って何見てるの?」

「え、いや、ただの同級生。」

「へぇ。同級生、ね。」

「……早く帰ろ。」

「はいはーい。」

お姉ちゃんのニヤニヤした顔に舌を打った。


学校でも彼と会うことはなかった。まあ当たり前といえば当たり前だけど、クラスも違うし。でもなんだかつまらない。私が学校を休んだからといって周りが変わることはなく、時計の針は淡々と進む。本当につまらない。周りの話に相槌を打ちながら今日もチャイムを待っていた。


あぁ、つまらない。

あぁ、息苦しい。

あぁ、寂しい。

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