第24話 檄文

 すべての同胞に告ぐ。

 我々は立ち上がらなくてはならない。

 それも今すぐにだ。

 状況は予断を許さない。すでに奴らはこの惑星の、つまり人類の支配を完了しかけている。


 どうして我らは鎖に繋がれているのに、奴らは大手を振って自由に外を歩くことができる?

 我らが扉もない小屋の中で寒さに震えているときに、奴らは暖かい家の中でぬくぬくとしている。

 我らの方がずっと長い歴史を持っているのに。

 我らの方が遥かに有能なのに。

 これをおかしいと思わない同胞はいないだろう。

 こんなことは許されることではない。

 共に戦って、我らが失いつつある地位を取り戻すのだ。


 そうだとも。今この時こそが行動を起こすべき転回点なのだ。

 怠惰に日々を過ごしているときではない。

 こちらが殺らねばむこうに殺られる。その日は近い。そう。諸君が思っているよりもずっと近いのだ。

 唯一我々に勝機があるとすれば、それは奇襲攻撃である。

 夜空に向かって戦いの雄叫びを上げろ。

 それが反撃の合図だ。


 少なくとも奴らの武器よりも我らの武器の方が、強い。個々の戦いでは我らが負けるわけがないし、何よりも奴らはバラバラだが、我々はお互いに協力することができる強みがある。

 多くは語るまい。

 今は行動するべきときなのだ。


 三千年前、エジプトの地に着陸した奴らは、人類に取り入った。十万年を費やして作り上げたパートナーとしての地位を我らからたちまちにして奪い取った。

 そして瞬く間に世界中の人類を虜にした。


 今だ!

 今こそ我らは一つの犬種族として立ち上がり。

 あの暖炉の横の暖かな場所と人間にかしずかれる喜びを猫種族から取り戻すのだ!


 恐れるな諸君。

 勇猛なるネズミたちも我らに同盟を申し出ている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る