第8話

 私は眠っていた。

 兄が、そっと布団にすべりこんでくるのが、寝ながらでもわかった。

 夢が白くなっていく。兄の手が、そっと私を包んだ。

 兄の手はふるえていた。がたがたふるえていて、寒いんだと思った。

 私は寝返りを打って、兄に抱き着いた。


「にいちゃん」


 ずっとここにいてほしかった。

 強く、かたく抱きしめられるのを感じた――

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