第6話
おなかが痛い。そう思ったら、やっぱり生理だった。
トイレットペーパーで応急措置をすると、保健室に向かった。
「江藤さん、また来たの」
先生は嫌な顔をした。最初はまあまあ優しかったが、私がナプキンをたくさんとってから冷たくなった。
「あなたのものじゃないのよ。ほしかったら頼みなさい」
先生は私に叱った。意味がわからなかった。
生理なんて頼んでもないのにくるものを、なんで頼まなきゃならないんだろう。先生はえらぶりたいんだと思った。
私が黙っていると、先に来ていた生徒と目が合った。休んでなさい、先生は優しくその子に声をかける。
「ほら、早く帰りなさい」
先生は一番小さなナプキンを渡すと、私を追い出した。
こんなもので家まで持つだろうか。家にナプキン、残りあっただろうか。そんなことを考えながら、廊下を歩いていると、足音が追いかけてきた。
「江藤さん」
さっきの子だった。その子は、カバンからそっとポーチを取り出すと、三つナプキンを取り出した。
「あげる」
私が黙っていると、悲しそうに顔をしかめた。
「先生ひどいな」
「ありがとう」
こう言うのが正しいんだろう。そう思った。その通りで、その子はほっとしたように笑った。
「困ったことがあったら言ってな」
そう言って去っていった。入っていった教室を見て気づいた。同じクラスだ。
なんてやさしい子なんだろう。見れば、たいそう、いいナプキンだった。さっそく使うことにした。
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