第5話

何故このような誰の得にもならない作品を書いてしまったのでしょうか。


世の中に出すのなら、興味を惹くか、感動を誘うかのどちらかが誘える場面を入れるのが、小説を書く上での最低条件、延いては人前に出すものを作る上での義務、だと思っていたのに、このような小説を書いてしまいました。

自分で義務だと思ったことすらできていない奴が、世の中で大成できるわけがありません。

何故、三章の思いを胸の内に留めておかなかったのでしょうか。

何故、こんな捻くれたものを書こうと思ったのでしょうか。

ただただ意味不明。

時間を返せ、と思われてもおかしくありません。

こんなものは小説とは呼べません。

ただの懺悔、見るに耐えない吐露なのです。

やはり、後悔を背負ったまま生きていくしかないのでしょうか。

この後悔を背負ってから、二週間が経とうとしています。

案外、生きていけるのかもしれません。 

ですが人生が空虚なものになる事は確実でしょう。

良い事を考えたってその通りに叶わなければ、喜びをそっくりそのまま味わう事ができませんし、外れたらより一層落ち込みます。

それなら考えうる中で最低の考えを頭の真ん中に据えようという、本末転倒な考えです。


できる事なら二章の頃に戻りたい、純粋に憧れの曲を楽しんでいた自分に戻りたい。

そう心の底から思っています。


こんな作品を生み出してしまったことをお許し下さい。

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ピッキング 木ノ下下木 @kinoshitageki

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