エピローグ1
「ぎゃあああああ~~~‼ あゆむぅうううう‼ 」
運のいい事に骨や神経に異常がなかった事から、アタシは前歯だけ入れてもらってなるべく早く学校に復帰した。でも殴られた顔の腫れは中々引かず、クラスの皆は事情を知っていながらもドン引きした顔で皆こちらを見ている。
カンナなんか、朝からこの調子で気付けばシクシクと泣いてアタシの顏を見ているのだ。
アタシと早乙女クンを襲った人物は『
早乙女クンの通報で今までの悪さも含めてどうやら少年院に送られる事になるという事で、少しだけ安心した。
因みに、警察が来た時警察とアタシのお父さんは真っ先に犯人が早乙女クンだと思ったらしい。まぁ、あの格好だもんね。
「ふふ」その時の話を思い出して笑うと、クラスの皆がビクッと肩を揺らした。ごめん。皆、この状況はすごい怖いよね。
「間に合った~~~‼ 」
ガッシャンガッシャン、教室の床が抜けそうな程の大きな音を響かせて、漆黒の鎧騎士が教室に入ってきた。
なんて、不似合い――なんて、もう思わない。
「おはよ、早乙女クン」
アタシは近づくと、彼に挨拶する。
「……ぎゃああああああ~~~‼ 愛生さ~~~ん‼ 」
涙声で叫ぶ彼に「もうっ、いい加減慣れろ! 」と怒鳴る。
その様子に、クラスの皆が「おお……」と息を呑んでいた。
実は、この騒動の後、彼と2人で決めた事がある。
まず、鬼富士を打ちのめしたのはアタシと言う事にする事。
そして、ワンちゃんの名前は『キズナ』にする事。
ワンちゃんは結局家で飼う事になって、早乙女クンが時々お世話に来ること。
あと……もうアタシはあまり武道で物事を解決しない事。
おろおろと心配そうにアタシを気遣う彼を見て、また笑ってしまう。
だから、アタシはその固く、冷たい、金属の手甲に包まれた彼の両手を握った。
多分――。
その誤解はやがて解け、彼の良い所はこれから皆に伝わる事だろう。
アタシがそうだったように。
その時『パリン』と握っていた手甲から甲高い音が鳴り、パラパラとまるで砂の様に崩れていく。そこから覗くのは、男の子の手とは思えない真っ白な白魚の如き指。
「え……えええ~~~~?? 」それには誰でもない。彼自身が一番驚いていた。
「は、ははは。すごいや。これならとっても楽にクマちゃんを縫ってあげれるかも」
そして、そんな事を言うのだ。
ひとまず、これでアタシと非日常な狂戦士の男の子の話は一旦休息。
だけど、この後も色々な事が彼にもアタシにも降りかかります。それは、とても大変な事もあるのだけれど。
きっと、そこには
笑顔がいいっぱい溢れているよね。
早乙女クン。
ヨロシク‼ 狂戦士の早乙女くん ジョセフ武園 @joseph-takezono
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