第5話 立ち込める暗雲

「透馬の件、ダメだったよ~。ごめんな、母さん。せっかく昏睡状態になってもらったのに。でも私は諦めきれないなー。」

私は今病院の一室に来ている。入院している患者は透馬の母。透馬のお母さんに向かって話しかけている。私の名前は如月邦春。透馬の父親だ。私は、息子のことを愛している。常に成長を見守っていたい。私は透馬に独り立ちをしてほしくないのだ。

「今回は、透馬の友達が優秀だったみたいだよ。」

透馬をそばに置いておくために引きこもりにさせようと、わざと精神的に追い詰めるようなことをしたのに、台無しになってしまった。美鈴ちゃんの交通事故も、真人君の転落事故も、母さんの交通事故もすべて私がやったのだ。雄大君も意識不明になってくれたことは計算外の好都合だったが…。

「私は諦めないよ?母さん。」

そう、私は諦めない。透馬の成長を見守るためなら、犯罪にだって手を染める。私は次の作戦に向けて構想を練り始めた。

「さあて、次はどうしようかな。」


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動き出す君と止まったままの僕、動き続ける君と動き出した僕 @mark-r

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