第3話 ひとりかくれんぼ ―邂逅―
「『ひとりかくれんぼ』、やと? いや、それって都市伝説やろ?」
「そうだよ? 僕は都市伝説の『ひとりかくれんぼ』! ずーっとここに一人で、寂しかったんだぁー…でも、おにーさんが来てくれたから、もう寂しくない! ねぇ、おにーさん、僕と、ずぅーっと、一緒にいてくれる?」
高野の目の前でニコニコとほほ笑んでいる自称・『ひとりかくれんぼ』は、どう見ても人の形をしていた。
ふわふわとした茶色のアウターを着て、右手にはクマのぬいぐるみを抱きかかえており、一見するとどこにでもいる普通の少年に見える。ただ、何かが気持ち悪い。
高野は正体不明の嫌悪感を抱きながら、言葉を慎重に返す。
「――いや、俺はここにはおられへん。帰らなあかんから」
「えー? おにーさんに帰るところなんてあるの?」
「そ、れは……」
少年の言葉に、高野の喉がぐぅ、と詰まる。どこまで自分の事情を知られているのか、はたまた単なるハッタリか。
「……お前には関係ないやろ。俺は元の世界に帰るんや――そもそもここ、どこやねん」
高野の返事対し、少年はくすくすと笑いだす。
「おにーさん、強がりだねー? まあ、いいや! 質問に答えてあげるね? ――ここは、『
「半端者…」
「でも、おにーさんは人間だよねー? なんでここに来たのかなぁ?」
「……知るわけないやろ、そんなん俺が聞きたいわ」
吐き捨てるように、高野が答える。そんな姿を見て、少年はますます笑顔を深くした。
一歩、二歩、少年が高野に歩み寄る。
「それでー? おにーさんは、ここには居てくれないんだよね?」
「っ、あたりまえや!」
高野の返事を聞き、少年、『ひとりかくれんぼ』は見た目にふさわしくない下卑た表情を浮かべる。
「――じゃあ、僕と『かくれんぼ』しよ?」
「そ、それ、まさかと思うねんけど……」
「そう! 僕と、『ひとりかくれんぼ』で勝負しよ、おにーさん!」
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