ブチギレ前衛(サポート寄り)が弱小勇者パーティーと魔王を倒す旅に出る

#I

第1話 なんでこいつらなんかと!!!

 突然だか、俺 ウェストは勇者を名乗る奴らを鍛え、魔王を倒しに行かなければならなくなった。



ことは数時間前に遡る


        ***


「良い仕事あるんだけどやってみない?お前にピッタリなんだけどさ」


 そう発言したのは、前に一緒のパーティーだったリードと言う名の人物。


「なんでまた急に」


「大事な仕事で適任がお前ってことになったんだ」


 大事な仕事。細かい作業は向いていない。内容次第では断る他ない。


「内容は?話してみろよ」


「教師……みたいなもんかな。ハハッ」


 ということは誰かを指導するということだ

正直向いていない。なぜ適任に?


「なんで俺なんだ?」


「理由は聞くな。やるのか?」


「元パーティーのよしみだ、受けてやる」


「そうと決まったら早速話を通してくるからな!!一緒に簡単なクエストでも始めてみると良いさ!!」


「受付で待ってるよ」


そうしてクエスト受付所へ向かう


「適任ってことは、強いって見込まれてるのかもな。ハッ、悪くねぇな」


独り言でそう呟く


 前のパーティーから脱退した理由は単純で、静かに冒険をするのも悪くないと思ったから。


 その後も1人でクエストを淡々とこなして確実に強くなっていった。


「歓迎会はクエストの後だな」



 受付所に着き初クエストにふさわしいクエストを選定する。


「実力わかんねぇし…オークでも行ってみるか?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


オーク討伐  推奨レベル5


出現地    森


報酬金    7500ゴールド


オークの弱点  火◯  水△ 打撃◯

斬撃◯


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


よほど弱くなければ簡単に倒せるはずだ。


「初クエストがオークは可哀想か……だとしたらスライムか?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


スライム討伐 推奨レベル1


出現地    平原


報酬金    一体 500ゴールド


弱点     斬撃△ 打撃△ 魔法◯


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 打撃 斬撃ともに効果はイマイチだが倒せないというわけではない。


 子供のお小遣いに最適。一部では危ないと言われている節あるので、保護者監督の下なら小さい子でも狩っていいことになっている。


「沢山狩って歓迎会を楽しもうか。決まりだ決まり」


受付所の扉が開かれる


「ウェスト!連れてきたぜ、こいつらは今日からお前の教え子になる」


「待ってたよ」


「早速で悪いけど用事があってな、後はゆっくり楽しんでくれよー」


 手を振りながらリードが去ってゆく。リードが連れてきたのは3人組。


「こんにちは、俺はウェストだ。今日からお前たちの先生になる。よろしくな!!」


「話は聞きましたよ、ウェストさん。僕の名前はノア。役職は前衛です。そしてこっちが」


「シールドです、気軽に呼んでくださいよ!!役職はタンクっす!」


「そして私がミラと申します、役職は後衛、魔法使いです。よろしくお願いします、先生」


 ノア シールド ミラ 3人とも仲が良さそうだ。よかった、これならすぐに打ち解けられる。


 シールドはタンクで味方を守る盾となってくれる。ガタイも良いので最適職だ。


「俺の役職は前衛。といってもサポート寄りだが丁度いいな。早速スライム倒しにいくぞ」


「「「はい!!」」」


受付所を出て平原まで歩く


「初クエストがスライムは少し簡単すぎると思うから、今回は沢山狩るぞ!」


各自、自由に散らばり狩りをする。


だが順調なのはここまでだった……


「10対目〜こんなん楽勝よ〜」


 陽気に、現れるスライムを順調に倒していく。何体も出現するわけではないので10体ほど。お小遣い程度には稼げた。


「そろそろ戻るかね」


 集合場所は街の門の前。皆仲良く狩りという形にはならなかったが冒険の素晴らしさを実感しているはずだ。


スキップしながら門の前へ


「お前らー!何体狩れた……?」


言葉が詰まる。それもそのはず3人が倒れている。


「疲れんの早すぎじゃね?」


「ウェスト…さん……?丁度よかった……手当を……」


 倒れていた原因は怪我だ。レベル1のスライムでそんなことがあり得るのか?と疑問に思いつつ3人に簡単な回復魔法をかける。


「いやぁ!助かりましたよ!」


「あんな怪我どうしたんだ?さては派手に転んだな?そうなんだろ」


「お恥ずかしながら、スライムに体当たりされまして…みんなやられてしまったわけですよ」


 スライムに体当たりされてダウン????

ガタイのいいシールドまで……。


「は?お前らレベルは?いくつなんだよ」


「実はみんな0.5なんですよ」


「幻聴?」


「ハハッ嫌だなぁ!ウェストさんの耳はおかしくなっていないですよ。みんなレベル0.5なんです」


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」



実は3人ともレベル0.5なのであった。


どんな人間でも普通はレベル1、赤ん坊でさえ。


レベル0.5になった訳とは?




         ***


ということがあったのである。リードに話を聞くと


『こいつら実は勇者パーティーでちょっと呪いかかってんの。チームメンバーで教育しようとしてたんだけど、成長遅すぎてたらい回しになったわけ!それでお前のところに回った〜!魔王討伐頑張ってね!』



レベル0.5の勇者パーティー?呪い?魔王討伐?


「聖水くらい取りにいけよ!!ふざけんな!!教育諦めただけじゃねぇか!!!」


 誰がどう見たって絶望的な状況だ。シールドはガタイがいいが、レベル0.5のせいで常にデバフがかかっている。他2人も同様。


とても嫌な気分になってきた


「楽しい冒険期待してたのに、なんでこいつらなんかと!!!」



 スライム一体倒せない勇者パーティー。果たして魔王は倒せるのか……?


 こうして前途多難な魔王討伐の旅が始まったのであった。































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