第4話 アタシの王子さま

 アタシが何とか高校を卒業した後、刑事さんが新しい父親になり、アタシたちは家族に。

 姉弟という関係になった途端、おとうとはアタシを他人行儀な "お姉さん" ではなく、名前で呼び捨てするようになった。

「関係はハッキリさせといた方がいいから」

 というのが彼の言い分。

 義父と母から結婚すると告げられた日、ふたりの前で彼に告られた。

「俺が成人したら結婚しよう」

 義弟になると決まった相手からの求婚を、ふたつ返事でアタシは受けた。

 更生なかばで挫けそうになったとき、何度も叱咤激励して、道を誤らないように見守ってくれていたのは彼。

 いつも言い方きつくて、心をグサグサと刺してきたけれど、絶対に見捨てたりせず、ときに背中を蹴飛ばし、ときに手を引っ張ってくれた。

 共に過ごしていく掛け替えのない時間が、アタシたちの結びつきを深く強くしていった。

 思えば出会い助けられたあの日から、この想いは始まっていたのだろう。

 成人してからかぁ……そしたらアタシは二十六? んにゃ成人が十八からになったから二十四かな?

 早く大人になってほしいような、そうじゃないような……。

 子供である自分に、ジレンマ抱えてる彼を見ているのも好きなんだよね。

 でも、必ずやって来る約束のとき。

 彼がアタシをお嫁さんにしてくれる、その日。

 待ってるからね、アタシの王子さま。



          おしまい。

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不良少女白書 シンカー・ワン @sinker

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