第4話 おじさんは風属性魔法にツッコミたい
おそらく誰も期待して居ないであろうおじさんのツッコミエッセイ風サムシングの4回目は、風の魔法についてツッコンで行きたいと思っております。
先ず、原則として、大抵の魔法を扱った物語には「属性」と言う括りで魔法を区別している。その中の「風属性魔法」とは、簡単に言えば、風を起こしたり操ったりして攻撃、防御を可能とし、更には、風を纏ってスピードを上げたり、更に更に、音波を操り声を遠くまで届かせたり、音を集めたり。風を起こす事で攻撃ではなく、索敵に使ったり、空を跳んだりと様々な使い方を見せる属性魔法となっている。
攻撃も防御も、バフ、デバフも、索敵も何でもござれな万能属性が風属性魔法だ。
ここまで読んだ方はきっと風属性魔法使いに憧れを抱いた事だろう。そしてこの万能な属性の何処にツッコミを入れるのか?と疑問を抱いた事だろう。だが安心して欲しい、おじさんがツッコム事は大抵重箱の隅っこの小さい事なのだ、と。決して全面戦争はしない、これが中年の処世術なのです。
まぁどうでも良い事が加わりましたが、「風属性魔法のウィンドカッターってなんで切れるんや?」が今回の主題であり、おじさんが最も伝えたい事だ。
古来から「かまいたち」なる現象で冬の強い風が吹いた時に手や足が切れているにも関わらず血が出ていないと言う妖怪の仕業とされているモノからの着想によって、魔法の「ウィンドカッター」が生まれたと言う説が割と強いのではないだろうか。
そもそもご存知の通り、風単体で人体を含む物体が切断されたりする事は科学的に説明出来ない。物凄い気圧差によってや、真空の刃がウンタラカンタラと説明している作品があったりするけど、現実的には不可能である。仮に真空を維持出来る程の(周囲の大気が有りまくっている状態にも関わらず真空が維持出来るって考えられ無いが)真空の刃があるなら、きっとそれは大魔法に分類されて然るべき魔法だと思うのです。その大魔法(大規模な魔法)が使えるのであれば対象を切り刻むのではなく、竜巻で空中に打ち上げて落とすといった、よりシンプルな手段も取れるのではないだろうか?最もシンプルな手法を取れば、人体を気圧差でぺちゃんこにしたり、内側から爆発させたり出来そうだし、何より真空が維持出来るのだから、呼吸困難にでもすれば良いだろう。尤も、強風が顔面直撃しているだけでも呼吸は出来ないのだけども。
しかし、多くの作品ではウィンドカッターは風属性魔法の代名詞と言わんばかりの出現頻度で登場し、活躍している。
この理由ははっきりしている。理屈じゃない、ロマンだと。
風を操る魔法使いになったら誰だって、風の刃で「ウィンドカッター!」や「風刃!」の掛け声と伴に何故かほんのり緑色の三日月型の魔力で出来た刃を飛ばして見たい、その気持ちは痛い程分かる。
では何故今回、自己完結している問題を新ためて提起しているのか、と言えば。「風属性魔法」と言えば「ウィンドカッター」でしょ?と言う脳筋的、パブロフの犬的な用法に待ったをかけるためだ。
物語が異世界で、そして魔法が使える人達がいます。風を操る魔法使いが存在します。じゃあこの人達が使える攻撃魔法のひとつは「ウィンドカッター」としよう。この設定の場合は文句を付けるのは流石のおじさんでも自重したい。
地球で暮らしていた、現代日本人が、何らかの理由で魔法が存在する世界に行って、ほぼほぼ独自の手法で風属性魔法を使える様になった場合、この設定で「ウィンドカッター」でスパスパモノを斬るって事には大いにツッコミたい。
大体(凡そ独断と偏見を孕んでいるけども)、上記のような設定の術者を登場させた作品は9割型「イメージによる魔法発動」が可能な作品だろう。
火魔法のファイヤーボールの火力を上げるのに現代知識を活かすってありがちだし、何度となく目にした経験があるだろう。
百歩譲って、火魔法のファイヤーボールの件は良いとして(これもちょっとツッコミ所が有るので苦渋の決断ではあるのですけど)、現実世界で風による切断を多くの人は見た事等ないし、知識としてどのように風を操れば物体を切断する事が可能になるかを知っている人間って居るのだろうか?って所なのです。
イヤイヤ、イメージだから、アニメ、ゲーム、漫画に慣れ親しんだ現代日本なら風の刃は寧ろ常識と反論される方々もいらっしゃるだろう。
そんなことは想定内なのです。では反論してきたニキ達に聞こう、「そのゲームやアニメでは刃部分は何で形作られたものか説明はあったのか?」と。
恐らく、詳しく説明している作品は無いだろうし、あっても魔力的なサムシング位のボンヤリとしたものだろう。
そのようなボンヤリ理論の状態で詳細にイメージって出来るモノなのだろうか。おじさんは無理だなぁー歳だからかもしれんけども。魔力で刃作ったらそれって魔法の刃で、風の刃とは別物ですやんとも言える。(風を極薄で形成して刃にするってよく漫画的な説明があるが、合理的な説明になっていない)
それなら、極低温(-196℃位だったと。ちなみに、絶対零度は-273℃)で出来る固体酸素で刃を作りますというなら風の能力の一部と言えなくもないのだけど(ほかにも6Gパスカルという超圧力下で固体になるらしい)、そのような作品は未だ出会った事がない。
この様な異を唱える意見ってあまり見ないから、多くの読者はウィンドカッターをどの様な形であれ受け入れているのだろう。今回のツッコミだけでなく、前回までのツッコミも基本的に少数派の意見であることは認識して居るのです。それでもこんな変わった事考える人が読者に居るんだ、や、自分も実はそう思っていた、なんて人が少しでも居てくれたら幸いです。
と、まぁ色々と突っ込ませて頂いた今回ではあるが、おじさん自身別に「ウィンドカッター」を否定している訳では無くて、使うなら読者にきちんと説明出来る設定を作ってから使う事を改めて提唱して今回は終わりにしたい。おじさんだって成れるなら、風属性魔法使いに成りたいです。
では次回、第5回目でお会いしましょう。
ここまで読んで頂き誠にありがとうございます。
おじさん読者はツッコミたい ミウラアンジール @ezt1219
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