第2話 おじさんは異世界の言語にツッコミたい。

恐らく誰も期待していないであろう第2回目のツッコミたいですが、前回予告した通り、今回も異世界ファンタジー作品(所謂ハイファンタジー作品)に対してツッコンで行こうと思う。


タイトルの通り、今回のテーマは「異世界言語」についてです。

ハイファンタジーの中でも特に「異世界転生、転移作品」についてになるのかな。

多くの「転生、転移作品」では、その転生なり、転移の特典として「異世界言語理解」のような「世界が変わって話す言葉が変わっても今までの様に(日本語を話しているかのように)理解できるし会話が可能になる」能力が備わっている作品が多い。一々作者が異世界の言葉を創るのは大変な労力だし、何より読者は日本人なので、世界が変わっても日本語で表現するのは当然ではある。それなのに何処をおじさんはツッコミたいのかと言えば。

「便利過ぎる異世界言語理解に頼りすぎるな!」だ。

具体的な例を挙げると、ひとつは「ハンバーグ」、「サンドイッチ」、等の和製英語系の名詞だ。


ご存知の方も多いと思うが、「ハンバーグ」はドイツのハンブルグ地方から産まれた食べ物なので「ハンバーグ」だし、「サンドイッチ」はかの有名なサンドイッチ伯爵が考案した事で「サンドイッチ」な訳です。

それなのに作中でそのまま「ハンバーグ」、「サンドイッチ」として最初から登場させている作品もあったりする事に驚きを隠せない訳です。

100歩譲って作中の転生なり、転移した人物が考案したとされる説明なり何なりがあったら多少モヤモヤも違うのだけれどね。まぁ名詞なんだから「ハンバーグ」は「ハンバーグ」だろっていう意見もほんのちょっぴり理解は出来るけども。出来れば世界観を損なわないオリジナルなネーミングを付けても良いのでは?と思う訳です。


もうひとつが、「音読みと訓読みの概念を導入問題」だ。

日本語の特徴でもある漢字の音読みと訓読みを異世界に持ち込んじゃうと現地の言語って実は日本語だったで良くないんじゃないだろうかと思えてくる。

これってどんなタイミングで登場する事が多いかと言えば、冒険者パーティの名前で登場する事が圧倒的に多い。(人物名の場合も偶にあったりなかったりする)

「赤」を「あか」と読んだり、「せき」と読んだりする訳だが、これ自体は別に不自然じゃないのだけれども、一部の作品ではその冒険者パーティの名前の由来が文字ってあったりするケースがあって 、それがダジャレ的と言うか韻を踏むと言うか、「この名づけは日本語を使える人間にしか無理だろ」ってのがある訳で、その理由が音訓の理解なのです。

日本語を母国語とする日本人であれば、「1月1日日曜日日本上陸(いちがつついたちにちようびにほんじょうりく)」を間違いなく読めるが、外国人はこれを正しく読む事はかなり難しいのです。「日」と言う簡単な文字が幾つもの読み方をする事に外国人には理解が追い付かない事が多いのです。

そんな訳で、無理に異世界の言語が別の言語とするのではなく、この際「不思議と転移した(転生した)世界は日本語が使われている世界だった」にしてしまった方が細かい部分で不都合が 起きにくいと思う訳です。大体多くの作品で言語の設定をきちんと考えて創った物語って非常に少ないと思うのですよ。世界統一言語って感じの作品も多いし、方言とかも無い仕様の作品がめちゃくちゃ多い。それ程広くない日本でさえ、山や川を越えたら使う言葉が微妙に違う事がよくあるのに、広い大陸で統一言語って世界を狭めているんじゃないだろうか?物語で方言を表現するのも大概読みにくいが、方言の存在、他の言語がある事くらいは作中に匂わす事くらいはあっても良さそうだと感じているのです。

こんな感じで色々突っ込んでみたが、結局何が言いたいのかと言えば、「異世界言語理解」の能力が便利過ぎると作品世界の現実味が薄くなってしまう事と異世界である必要性の問題になってしまう。ただ単に転生させました、転移しました、舞台設定は何となく異世界って感じに読者側が受け取ってしまう訳ですね。やはりそれ相応の必然性と言うか尤もらしい道理が背景に読み取れる作品の方が読者は読んでいて納得出来るし、そういった作品の方が作品世界に厚みを感じられて没入感を得られると思うのです。

「じゃあお前が書いて見ろよ」と言われれば、私は書けないのである意味クレーマー見たいな意見なのかも知れませんが。それでも読者側の意見として思う事ではあるのです。

作家の皆さんがこんな場末のスナック的な物を読むとは思えないけれども、こんな意見もあるんだと参考にして頂けたら幸いではありますね。私が思う位ですから他にも同様の意見を持った読者も世界を探せばあと2~3人は居るんじゃないかなとは思います。


こんな感じの第2回でしたが、ここら辺で御開とさせていただきます。

さて、次回ですが、やはり異世界作品に対してツッコミを入れて見たいと思います。ここ迄読んで頂いた奇特な方がいらっしゃったら、読んでいただきましてありがとうございました。

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