(7)善人の責任

         ***

 もうこれで何回目だろう。死のう、そう決めたのに。今回も死ねなかった。天国には隼人も彼と私の子どもも黒もいるのに。のに死ねない。死ぬのが恐いんだ。こんな私なのに、生きる価値なんてないのに、死ぬしかないのに、死のうとすると睡眠薬を持つ手が震えて死ぬことを拒んだ。どうしても無理だった。死ぬしかないのにまだ脳も身体も生きようともがく。早く死にたいのに。死ななきゃいけないのに――

 隼人も殺し、私と隼人のまだ形もできていない我が子も殺し、妹と遥と渚沙に一生消えない傷を負わせ、精神を殺し、両親を絶望の淵に叩き落し狂わせた。全部、全部私が引き起こしたこと。わたしが――

 もう目の前が何も見えなくなっていた。ずっとずっと責め続けられていた。目も耳も頭も。全方位から。

 ねえ、どうして? 隼人。あなたはどんな気持ちで飲んだの? どんな想いでどんな恐怖の中で飲んだの? 教えてよ。どうやったら死ねるの? ねえ? 私は殺されるべきなのに、なんで息をしてるの? もう無理だよ。死なせてよ。あなたをあそこまで追い詰めた私を殺してよ――

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