第55話 隠された洞窟

 みんなが戻ろうとしたその時です!

「フーッ」という風の通る音が、再び崖の中から聞こえてきました。

 マガタマ姫は不思議に思い、その崖に触れた途端、足を滑らせて少し下の方へと転げ落ちました。


 それを見ていたフジマルヒコ、ヒカリヒコ、ウミマルヒコは、不思議に思いその場所をよく見てみました。

 すると、崖の隙間に隠れて洞穴があるのを発見しました。

 目の錯覚で岩と岩が重なり、洞穴が見えなかったのです。

 マガタマ姫はその隙間に落ちていたのでした。


「見つけたぞ!」と、みんなは洞穴の発見に歓声を上げました。

 マガタマ姫は皆の声を聞き、照れくさそうに「早くこっちに降りてきなさい!」と言いました。

 みんなは急いで洞穴に転げ落ちたマガタマ姫の元へ向かいました。


 マガタマ姫は少し照れながら、「やっと洞窟が見つかりましたね」と言い、服の汚れを払いながら笑いました。


 洞窟の中は薄暗く、蒸し暑い空間でした。

 わずかに溶岩の光が辺りを照らしていました。

 マガタマ姫一行は洞窟の奥へと進んでいきました。

 すると、前方に黄色の鬼が現れ、水晶の豆を握りしめたマガタマ姫たちは、鬼に向かって投げる準備をしました。


 しかし、黄色の鬼は「ちょっと待つのだ!今、おれはお前たちと戦うつもりはない。俺の話を聞くのだ!」と叫びました。

 そして、鬼は話し始めました。


「俺は地の国の支配者としてエンマタイと共に生きてきた。しかし、エンマタイは支配者は一人でいいと言い、俺にエンマタイの使い人になれと命じたのだ。俺は、もちろん断った。すると、エンマタイは俺に戦いを挑んできたのだ!やはり、力ではエンマタイに勝てなかった。だから、俺は地の国の宝であるエンマタイが大事に守っていた赤い玉と黄色い玉を盗み出し、エンマタイから隠れるために逃げ出したのだ。赤い玉は血の池の洞窟に隠し、黄色い玉は竜巻の湯で俺が守っていた。俺にもその二つの玉の力はわからないが、黄泉の国や地上の民に危害を加えるに違いない。」


 黄色の鬼の話を聞いて、マガタマ姫は深く考えました。

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