第56話 二つの玉
確かに、この二つの玉をエンマタイに渡せば、黄泉の国や地上の民たちに危害を加えるかもしれない。
しかし、エンマタイに二つの玉を渡さなければ、コノハナサクヤヒメとイワナガヒメを黄泉の国から救い出すことはできない。
二つの玉を渡せば、三千年間エンマタイと血の民は、黄泉の国と地上に現れないという。
これは神の約束であり、もし約束を破ればエンマタイの命はそこで終わってしまう。
それに、トキタマ姫は三千年後にはエンマタイと戦える民たちが現れると予知しているーー
マガタマ姫はトキタマ姫の予知を信じ、エンマタイに赤い玉と黄色い玉を渡すことにしました。
そして、みんなにそのことを伝えました。
マガタマ姫は黄色の鬼に自分たちの考えを話し、黄色の鬼もマガタマ姫たちと戦うつもりはないことが分かりました。
マガタマ姫一行がその場を立ち去ろうとしたときです。
黄色の鬼が洞窟の行き先を教え始めました。
「この洞窟は入り口も出口も分かりにくい。時々動物や人々が迷い込むが、なかなか戻ることができない。だから俺は竜巻の湯を操りながら、動物や人々を洞窟から追い返していたのだ。この洞窟は黄泉の国に通じる穴と地上に通じる穴に分かれている。お前たちが坊主山に戻るなら、真ん中の穴を通っていくといい。行けるかどうかは、お前たち次第だがな!」
そう言うと、黄色の鬼は静かに立ち去っていきました。
マガタマ姫一行は、黄色の鬼が地の国の鬼にしてはそれほど悪い鬼ではないと感じていました。
しばらく進むと、大きな空間に出て、そこから二つの道が分かれているのが見えました。
黄色の鬼は嘘をついたのだろうか?いや、そうではない。
「行けるかどうかは私たち次第」と言っていた。
ここにも何か謎が隠されているに違いない、とマガタマ姫一行は思いました。
一行はしばらくの間、二つの洞穴の前で考え込んでいました。
すると、冷たい風が肌に感じられました。
それと同時に、生ぬるい暖かい風も感じられたのです。
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