第54話 黄色の玉

 水晶の豆を投げつけられた黄色の鬼は、あまりの痛さに大きな声を上げ、逃げ回りました。

 そして、マガタマ姫たちは黄色の鬼を竜巻の湯から追い払ったのです。

 鬼がいなくなった竜巻の湯の横には、黄色の玉がぽつんと置かれていました。

 しかし、湯から吹き出る熱い竜巻の勢いを抑えるため、マガタマ姫たちは黄色の玉の代わりに、近くにあった溶岩が固まった岩で穴を塞ぎました。


 これでようやく黄色の玉を手に入れることができました。

 しかし、黄色の鬼が再び戻ってきたら、迷い込んだ動物や人々を苦しめるに違いありません。

 そう考えたマガタマ姫は、竜巻の湯の中に龍の水晶の欠片を入れたのです。

 すると、竜巻の勢いは百分の一におさまったのでした。

 湯の噴出も定期的に行われるようになり、黄色の鬼の力が及ばないようにすることができました。


 これで、二つの赤い玉と黄色の玉を手に入れたマガタマ姫たちは、エンマタイの元へ戻ることになりました。

 帰り道、崖の近くまで来てみると、つないでいた縄が木とともに燃えてなくなっていました。

 おそらく、竜巻の湯の熱さか、溶岩の火に燃えたのでしょう。

 仕方なく、マガタマ姫たちは竜巻の湯に戻り、今後の対策を話し合うことにしました。

 マガタマ姫は、ここに動物や人々が迷い込むことがあると聞いたことを思い出し、どこかに抜け道があるのではないかと思い立ちました。

 とりあえず、黄色の鬼が逃げていった方へと向かうことにしました。


 黄色の鬼が逃げた方向へ進むと、そこにはやはり、崖が立ちはだかっていました。

 しかし、黄色の鬼はどうやってこの崖を渡ったのだろう?

 動物や人々はどうやってここに現れたのだろう?

 マガタマ姫たちはそう考えました。


 その時です。

 フーと風の通る音が聞こえました。

 それは崖のすぐ下の、少し岩が飛び出ている場所から聞こえてきました。

 マガタマ姫たちは、すぐさまその場所へと向かいました。

 そこは、人が数人立てるくらいの狭い場所でしたが、岩があるだけで何も変わった様子は見当たりませんでした。

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