第45話 霧の中のトンネル
ホシヒトは、「ここに二人の女の人が来たはずだ。返してもらいたい」と訴えました。
しかし、アノヨノクニノミコトは首を横に振り、「ダメだ!あの二人はこの近くの取ってはならぬ木の実を取ってしまったのだ」と言いました。
その木の実は幻のもので、普通の人間には見つけられないものだったのです。
二人は何らかの力を持っており、その実を取ったために、三途の川を渡ってあの世へ行くしかないと告げました。
コノハナサクヤヒメとイワナガヒメを返してほしいというホシヒトの願いは聞き入れられず、アノヨノクニノミコトは去っていきました。
ホシヒトは仕方なく呪文を唱え、強引に黄泉の滝の場所へ入ることを決めたのです。
呪文の力で白い霧の中に澄み切ったトンネルのような場所が現れました。
ホシヒトは、「今です!私が呪文を唱えている間に入ってください」と言いました。
マガタマ姫一行はホシヒトの呪文を信じ、すぐにトンネルの中に入って行きました。
しかし、入った瞬間、周りが霧に包まれ、ホシヒトの姿が見えなくなったのです。
霧の外に残されたホシヒトは、トンネルが消えたことに驚き、呪文を唱え続けるものの、霧の中のトンネルは再び現れることはありませんでした。
ホシヒトは、マガタマ姫一行が戻れるよう必死に呪文を唱え続けたのですが、疲れ果てて倒れてしまいました。
それでも黄泉の滝の入り口は現れませんでした。
一方、マガタマ姫一行は訳がわからないまま霧の中を進んでいきました。
しばらく歩いた頃、目の前にアノヨノクニノミコトが現れました。
「やはりお前たちはここへやってきたか。ここまで来たからには、もう元の世界には返すことはできない」と言ったのでした。
アノヨノクニノミコトはマガタマ姫一行を黄泉の滝のある三途の川の近くまで連れて行ったのです。
そこには、探していたコノハナサクヤヒメとイワナガヒメがいました。
マガタマ姫一行を見た二人は驚き、「なぜここに来たのですか?」と不思議そうに尋ねます。
二人はまだ、自分たちが大変な場所に迷い込んでいることに気づいていませんでした。
事態を悟ったマガタマ姫は、幻の木の実のや、アノヨノクニノミコトのことを二人に説明し始めました。
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