第44話 アノヨノクニノミコト

 しばらく歩くと大きな川が見えてきました。

 そこでは、大勢の人々が船を待っていました。

 ちょうどその頃、コノハナサクヤヒメとイワナガヒメが帰ってこないことを心配したニニギノミコトは、マガタマ姫に二人を探しに行くように頼みました。

 マガタマ姫は、フジマルヒコ、ヒカリヒコ、ウミマルヒコと共に二人を探す旅に出ました。

 サザナミとツチマルヒコは、マガタマ姫たちが無事に戻ってくるようにと、ホシヒトに祈りを皆で捧げるよう頼みました。

 コノハナサクヤヒメとイワナガヒメを探しに出たマガタマ姫の一行は、村人から木の実や山菜が生息する場所を教えてもらい、二人を探しました。

 しかし、なかなか二人を見つけることができません。


 途方に暮れていたマガタマ姫たちの前に、テンノカクシが現れました。

 テンノカクシは「コノハナサクヤヒメとイワナガヒメは、人が滅多に足を踏み入れない場所、いや、決して入ってはならないとされる黄泉の滝に向かった」と告げました。

 テンノカクシが遠くに二人を見つけて連れ戻そうとした時には、もう遅く、二人はすでに黄泉の滝に入ってしまっていたのです。

 テンノカクシも黄泉の滝に入ろうとしましたが、その異様な空気に押し戻され、どうすることもできませんでした。

 それを聞いたマガタマ姫は、黄泉の滝へ行くのは危険だと感じました。

 そこで、一度戻り、ホシヒトに黄泉の滝に入るための呪文を唱えてもらうよう頼むことにしました。

 ホシヒトは黄泉の滝がいかに危険かを説き、行かないようにと忠告しました。

 しかし、マガタマ姫はコノハナサクヤヒメとイワナガヒメを放っておけないと強く訴えました。

 ホシヒトもその使い人の使命の重さを理解し、マガタマ姫たちと共に黄泉の滝の入り口へ向かったのです。


 黄泉の滝の入り口に到着すると、ホシヒトはその異様な空気を感じ取り、マガタマ姫たちに近づかないよう指示しました。

 そして、滝の前で呪文を唱え始めました。ホシヒトが呪文を唱え始めてしばらく経ったときです。

 黄泉の滝の入り口の前に白い霧が現れ始めました。

 するとその中から、アノヨノクニノミコトが姿を現しました。

「ここから先は、生きている人間は入れない」そう言ったのでした。

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