第46話 三途の川

 それを聞いた二人は、自分たちが危険な場所に迷い込んでいることに驚きました。

 そして皆は、この場所から抜け出す方法を考え始めました。

 しかし、すぐ目の前にはアノヨノクニノミコトが立ちはだかっているのです。


 マガタマ姫はアノヨノクニノミコトに、「コノハナサクヤヒメやイワナガヒメを連れて帰ります」と言いました。

 しかし、アノヨノクニノミコトは、「ここに来たマガタマ姫一行も含め、全ての人間を返すつもりはない」と冷たく告げました。

「この三途の川を船で渡り、あの世の国に行ってもらう」と言うと、アノヨノクニノミコトの呪文により、マガタマ姫一行は身動きが取れなくなってしまいました。


 そのころ、ホシヒトはトキタマ姫の元へ向かい、マガタマ姫たちを助け出す手立てを尋ねていました。

 トキタマ姫は以前、アノヨノクニノミコトに会ったことがありました。

 彼女もまた、導かれるように山へ入り、黄泉の滝の入り口近くでアノヨノクニノミコトと出会ったのです。


 その時、黄泉の滝の横に地の国の入り口があり、最近ではその地の国の支配者や民たちが現れるようになったという話を聞きました。

 アノヨノクニノミコトはトキタマ姫に、「なぜそうなったのか?どうすれば良いのか?」と尋ねてきたのでした。

 トキタマ姫はアノヨノクニノミコトに話し始めました。

「黄泉の国に地の国の民が入ると苦しくなるのです。だから、地の国の民は長く黄泉の国に留まれません。しかし、地の民が時々黄泉の国に現れるということは、これから地上の普通の人々のところにも現れる可能性があります。

そうなると大変な戦いが起こるでしょう。

 それを防ぐために、地の国の支配者であるエンマタイに会い、地の民が黄泉の国と地上に来てはいけないことを伝えてください。

 今から三千年間、地の民が黄泉の国と地上に現れないように誓わせるのです。そうすれば、その後には、来世でエンマタイと戦える民がきっと現れるでしょう」


 トキタマ姫の予知を聞くと、アノヨノクニノミコトは黙って立ち去ったのでした。

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