第40話 神木の下駄と隠れ蓑
その話を聞いた後、テンノカクシが話し始めました。
テンノカクシの履く下駄は、何千年もの歳月を経て育った神の木と言われる杉の木で作られており、凄い力を持っていました。
大きな葉っぱで人を飛ばすのは、今で言う気功術の一つであり、その力は、葉っぱよりもテンノカクシの気功術によるものでした。
隠れ蓑は、布に近くの景色を描いて、何枚も持っていたのです。
しかし、天性の素早さと、知恵、そして様々な術の使い手としてマガタマ姫たちさえも、なかなか勝つことができなかったのです。
そしてテンノカクシが語り始めます。
「お前たち八人は、力を合わせると素晴らしいものがある。私に勝てたのだからな、私を殺すなり、どうにでもするがいい」と言い放ったのです。
しかし、マガタマ姫はテンノカクシに話します。
「あなたはただ、人を驚かせただけで別に何か悪いことをしたわけではありません。それに他国からやってきたのも、仕方なく船が転覆して流れ着いただけなのです。 お願いします。 私たちと一緒に天照大御神様に会ってください。」
少し躊躇ったもののテンノカクシは了解しました。
「分かった。しかし、最後には山に戻らせてもらう。俺は静かに山で暮らしたいのだ。」と言いました。
テンノカクシはマガタマ姫たちと共に山を降り、天照大御神様の元へ向かったのでした。
帰りついた八人は、テンノカクシとともに天照大御神様のところへ現れたのです。
天照大御神様はテンノカクシに色々と尋ねました。
そして、テンノカクシが人々に危害を加えないことを確信すると、無理やり連れてきたことや、山の動物たちを殺めたことを詫びました。
そして、動物たちへの償いとして、天照大御神様が自分に許しを得たと感じ取るまで、岩の穴に隠れることにしたのです。
それは、トキタマ姫と共に考えて決断したのでした。
天照大御神様とトキタマ姫は話し合っていたのです。
力強く勇敢なスサノオノミコトだが、少し人々のことを考えすぎて、他の動物たちの命の尊さを忘れてしまいがちである。
そのためトキタマ姫の予知に基づき、何千年に一度しかない、しばらく続く日食を利用して、天照大御神様が穴にお隠れになることを決めたのでした。
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