第39話 新たな真実

 テンノカクシは隠れ蓑に身を包み、何処からともなく現れ、素早く攻撃します。

 マガタマ姫たち六人では、かなうものはいなかったのです。

 そしてテンノカクシは、蔦で編んだ縄で、六人を縛り上げました。

「お前たち、私には敵わぬ!」

 と叫びながら、スサノオノミコトが持っていた草薙の剣を手に取り、スサノオノミコトに振りかざしました。

 マガタマ姫が「やめてください!」そう言った時です。

 一人の女性が現れ、「私からもお願いします!」とテンノカクシに願い出たのです。

「私は以前、あまたの大蛇の生贄にされるところでした。それを助けて頂いたのがこの方、スサノオノミコト様たちなのです。」

 と言い、スサノオノミコトの前で両手を広げて、テンノカクシから守ろうとしたのでした。

 しかし、テンノカクシはスサノオノミコトの前に立つ女性を振り払いました。

 その時です、ホシヒトの呪文が聞こえてきました。

 すると、テンノカクシが振りかざした剣が動かなくなったのです。

 六人の危機を予知したトキタマ姫が、ホシヒトを連れて現れたのでした。

 動かなくなったテンノカクシを縄で縛り、マガタマ姫たち六人の縄を解きました。

 そして、突然現れた女性に、スサノオノミコトがお礼を言います。

 すると、ホシヒトも

「私たちが少し遅れてしまいましたが、あなたがテンノカクシを止めてくれたおかげで助かりました。」

 そうお礼を言ったのでした。

 女性は「私も以前、あなた方に助けていただいたから当然のことです。」と答えました。

 しかしマガタマ姫は疑問を抱き、

「どうしてこんな山奥にいたのですか ?」と尋ねたのでした。

 女性の名前はマキミトと言い、あまたの大蛇の生贄になるところを スサノオノミコトたちに救われ、海辺の村で暮らしていました。

 ある嵐の日、遠くの船が転覆して、砂浜に一人の男性が打ち上げられました。

 それがテンノカクシだったのです。

 それを見つけたマキミトは自分たちとは少し違う人間に驚きながらも、懸命に手当てをしたのでした。

 テンノカクシは日に日に回復し、やっと歩けるようになったのでした。

 しかし、村人とは異なる人間ということで嫌われ、恐れられたテンノカクシは、山に隠れ住むようになりました。

 そこへマキミトが食べ物を届けていたのです。

 テンノカクシは山に住むようになって、山の動物たちと心交わすようになっていたのでした。

 そしてマキミトは、テンノカクシの元へと来ていたのです。

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