第30話 予知の力

 体内の薬草が溶け 、剣が あまたの大蛇の身体から姿を現すと、その鋭さが大蛇の内部を傷つけ 、痛みを引き起こし苦しむのです。

 それを聞いたマガタマ姫はホシヒトの言う通り、二日間待つことにしたのです。

 そしてみんなは、二日間 ゆっくり休んだのでした。

 二日が経ち 、ついに あまたの大蛇を討伐するために一行が出発する時が来ました。

 トキタマ姫が尋ねます。

「 皆様と共に 私も同行させてください。 私の予知により、 あまたの大蛇の動きを読み、 皆様のお手伝いをしたいのです。 また、 天照大御神様のお許しも得ています。」

 勾玉姫は、「トキタマ姫が力になってくれたら、心強いです! よろしくお願いします。」と一同は、あまたの大蛇を退治に向かったのでした。

 そして、しばらく進み 真珠貝の湖近くの洞窟へとたどり着きました。

 一同は洞窟に入り、 滝の近くのあまたの大蛇の住む場所へとやってきたのです。

 すると、滝の上にはやはり、 ハギノツタマルと あまたの大蛇が待ち構えていました。

「お前たち、私の考えよりも少し遅れてきたな? 何か企んでいたのか? まあいい、 どちらにせよ お前たちはここで死ぬのだ! 私たちに勝てるものなどこの世にいないのだ!」

 とハギノツタマルが叫ぶと同時に、あまたの大蛇が襲いかかってきたのでした。

 ツチマルヒコが地面を叩くと、その土煙に乗って、カゼマルヒコがあまたの大蛇に向かっていきます。

 スサノオノミコトは三種の神器の剣を振りかざし、向かって行きました。

 フジマルヒコは手裏剣をあまたの大蛇の瞳に向かって投げ、 サザナミは鋭い貝を使って戦いました。

 マガタマ姫は三種の神器の勾玉を太陽の光にかざします。

 ホシヒトは 天照大御神様から受け継いだ 、新たな呪文を唱えて、最初の戦いの時に、勾玉の光で傷ついた大蛇や、スサノオノミコトの剣を飲み込んだ大蛇との戦いに臨みます。激闘が始まる中、トキタマ姫は三種の神器の鏡を操り、カゼマルヒコとツチマルヒコの短剣や、フジマルヒコの手裏剣や、サザナミの貝に太陽の光を鏡に当て、 力を与えたのでした。

 カゼマルヒコは 短剣で戦いますが、 あまりの素早さに追いつくことができません。

 それを見ていたトキタマ姫はツチマルヒコとカゼマルヒコに指示を出します。

「 カゼマルヒコ、 右!」

 とトキタマ姫の声が響くと、カゼマルヒコは右に身を動かしました。

 その瞬間、あまたの大蛇の頭に、短剣を突き刺すことが出来たのです。

 トキタマ姫の予知能力が、あまたの大蛇の次なる一手を読み取り、カゼマルヒコに正確な指示を送りました。

 その結果、短剣を大蛇の頭に突き刺したのでした。


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