第22話 ハギノツタマル
みんなはフジマルヒコの手裏剣が、あまたの大蛇には通用しないと考えていました。
大蛇の巨体に対し、数々の手裏剣が投げられるも、その鱗の間にはまるか、素早い動きで避けられ滑り落ちるばかりでした。
やはり駄目だったか…
とみんなが思った時、遠くに光る何かに、フジマルヒコのあまたの大蛇の目を外れた手裏剣が当たったのでした。
そうです、それはハギノツタマルの腕に突き刺さったのです。
ハギノツタマルの腕に手裏剣が当たった瞬間、あまたの大蛇の動きが少し止まったのでした。
その隙を見逃さなかったマガタマ姫たちは、急いで洞穴に駆け込み、カゼマルヒコに状況を尋ねました。
「手裏剣はハギノツタマルを狙ったのですか?どうして、あまたの大蛇の動きが少し止まったのですか?」
フジマルヒコは少し深呼吸をし、語りました。
「ハギノツタマルは素早く、普通に手裏剣を放っても当てるのは難しいのです。大蛇に手裏剣が当たっても、通用しません。しかし、唯一あの大蛇の瞳は微かに弱いのです。だからこそ、あまたの大蛇の瞳を狙ったら必ず手裏剣を避けると思い、遠くにハギノツタマルが重なるのを待ち、手裏剣を放ったのです。やはり、思った通りあまたの大蛇は手裏剣を避け、どうにかハギノツタマルに当たったのです。腕ではありましたが…」
と、まずフジマルヒコはここまで話しました。
「幼い頃、ハギノツタマルはこの山に置き去りにされ、そこであまたの大蛇と共に過ごし、生き延びてきました。ハギノツタマルとあまたの大蛇は、一心同体なのです。ハギノツタマルが持つ光を発する石は、大蛇の八つの頭がそれぞれ持つ水晶の玉と繋がり、ハギノツタマルがあまたの大蛇を操っていると言われています。しかし、そのどちらが使い人なのかは不明です。」
そう言った時、スサノオノミコトは
「この場所は安全なのか?それに、あまたの大蛇を倒す方法があるのか?」
を聞いたのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます