第20話 手裏剣

 そして、大蛇が目から血を流し、頭から地面に倒れ落ちました。

 すると、スサノオノミコトは自らの剣でその頭を切り取ったのでした。

 驚くべきことに、大蛇の目には小さな剣が突き刺さっていました。

 それはフジマルヒコが投げた剣です。

 とにかく、なんとか大蛇を討ち果たすことができました。


 マガタマ姫はフジマルヒコに問いかけます。

 フジマルヒコは村で使われる小さな剣のことを説明しました。

「私の村では、子供や年寄り皆が熊やイノシシとの遭遇に備え、誰もが持ちやすく投げやすい、小さな剣を作りました。そして、子供の頃から、その剣の使い方を練習してきたのです。私たちは、その剣を"手裏剣"と呼んでいます。そして、さっきは大蛇がスサノオノミコト様を襲おうとしたので、とっさに手裏剣を投げたのです。すみませんでした!」

 フジマルヒコが説明すると、マガタマ姫は納得した。

「そうなのですね!でもあなたのおかげで私たちは助かりました。」

 そう言うとスサノオノミコトも、

「あの時、大蛇の目に手裏剣が当たらなかったら私はどうなっていたか分からない…」

 とお礼を言ったのでした。


 フジマルヒコは、幼い頃から手裏剣で小さな虫や魚までも射止めていました。

 その腕前は村一番のものであり、大蛇の目を射止めることは容易いことだったのです。

 しかし、フジマルヒコは重大なことを話し始めました。

「今回倒した大蛇は、あまたの大蛇ではありません!あまたの大蛇は、頭が八つあり、今倒した大蛇より、もっともっと大きく、力強く、賢いのです」


 彼は続けて、

「そのあまた大蛇の使い人として知られるハギノツタマルが、我々を試すために送り込んだ、あまたの大蛇を守護するための"守護大蛇"だったのです。

 しかし、守護大蛇を倒した以上、ハギノツタマルは私たちとの闘いを仕掛けるでしょう。

 なぜなら、彼は村を支配下に置くために、あまたの大蛇と共に、若い娘たちを奪い、生贄にしているからです。」

とそこまでフジマルヒコが話した時です。

「あっ!」と言うフジマルヒコの叫び声と共に、

ガザァガザァ…と言う突然の騒がしい音が響き渡りました。

 フジマルヒコが、「しまった!」と驚いて叫ぶと、「みなさん、逃げて下さい」と言って皆を連れて逃げて行ったのです。

 ツチマルヒコは、なんなんだよ?と言いながらも、とりあえず皆とフジマルヒコが逃げる方へと向かったのでした。

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