第16話 あまたの大蛇

「私の弟のスサノオノミコトと共に、力を合わせて、この大蛇を退治して下さい!無理には頼めないと思いますが、貴方達しか、この大蛇を倒せる人はいないと思うのです!」

 と天照大御神様の言葉に、マガタマ姫はサザナミと顔を見合わせ、勇気を奮い立たせました。

「勿論です!少し怖い気がしますが、天照大御神様の願いを叶えるのが私達使い人の使命ですから!それに村人の為になるのであれば、この大蛇は退治しなければなりません!」

 マガタマ姫とサザナミは固く誓いました。

 他にホシヒト、カゼマルヒコ、ツチマルヒコを手助けに連れて行くことにしました。

 その後、天照大御神はトキタマ姫に尋ねました。

「この使命は、マガタマ姫たちにとって辛い厳しい試練が待っていると思います。しかし、この大蛇を倒せるのは、使い人の使命感を心に抱いているマガタマ姫たちしかいないのです。私の余地するところ弟君だけでは勢い余って、頭の良い大蛇に勝てず、逆に傷付けられてしまいます。マガタマ姫たちが加わっても必ずしも、この大蛇に勝てるとは限りません!マガタマ姫や皆の力強い結束と天を見方につける運の強さが噛み合った時に、始めてこの大蛇を倒すことが出来るでしょう」とトキタマ姫は語りました。


 天照大御神とトキタマ姫は、マガタマ姫たちの安全を祈願しながら、川の石を積み上げ、祈りを捧げました。


 その後、あまたの大蛇おろちを探すために、近くの村へ向かいました。

 偶然にも、あの真珠貝が生息していた山の近くの村だったのです。

 一同はあまたの大蛇おろちを見つけるための案内をしてくれる村人を探しましたが、誰もが怖がって道案内をしてくれる者は現れませんでした。

 困り果てたマガタマ姫たちの前に、1人の村人が姿を現しました。

「あなた方があまたの大蛇おろちを探していると聞いたので、ご案内いたします。私でよろしければ」と、その若者は言いました。

 彼は以前、真珠貝を見つけるために道案内をしてくれた村人で、マガタマ姫やサザナミと同じくらいの若者でした。

 

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