第13話 湖の秘密

 目の前に広がる光り輝く湖が、まるで夢の中に迷い込んだようでした。

 みんながここにたどり着いたという安堵と、驚きが混ざり合い、ため息が漏れました。

 しかし、湖は光輝かないとさすがに分かりにくい場所にありました。

 周囲を囲む木々によってただの森に見え、湖は人々から隠されたいような様子でした。

 そう思いながらも、マガタマ姫たちは湖が夕日に照らされて美しく輝いている姿に見とれていました。

 その透き通る湖の中に、光輝く貝が口を開いて真珠を輝かせているのが見えました。

 それを見たサザナミは、今まで見たこともないほどの大きさの真珠に驚きました。

 そして、サザナミはマガタマ姫に言いました。

「私もこれまで海で様々な貝を見てきましたが、ここまで大きくて美しい真珠貝は初めてです。素晴らしいですね!これ以上の貝は見つからないでしょう。この貝を使って飾り物を作りましょう」と。

 マガタマ姫も、勿論そう思っていたのでした。

 そして、村人を帰し、マガタマ姫とサザナミは真珠貝を取ることにしました。

 その時、マガタマ姫たちが真珠貝を眺めていると、徐々に貝が閉じ始めました。

 湖の静寂が、空気を凍りつかせるような緊張感をもたらしていました。

 真珠貝の口が開いている時間は長くはありませんでした。

 しかし、マガタマ姫とサザナミは、明日真珠貝を取ることにしました。


 夜空には、星が煌めき、その輝きが二人の心を和ませました。

 二人は、様々な話題で盛り上がり、いつしか眠りに落ちていきました。


 朝が訪れ、マガタマ姫が目を覚ますと、サザナミが湖を見つめていました。

 マガタマ姫が声をかけると、サザナミは真珠貝のことを話しました。

「少し前に、貝の口が開いたのです。でも、昨日の夕方ほど長くはありませんでした。そして、朝の光では真珠貝の輝きがあまり分からないようです。夕方、人があまり立ち寄らない時間に、真珠貝が輝く可能性があるかもしれませんね?」

 マガタマ姫もそう考えてはいたのでした。

「ありがとう、サザナミ。朝早く起きて、湖を見てくれたのですね?」

 マガタマ姫が言うと、サザナミは微笑みながら答えました。

「私は朝の光が好きなのです。朝の海で太陽が昇るのを見るのがとても好きなのです。だから、一度、湖の朝の光を見たかったのです。」


 二人は湖を眺めながら、真珠貝の口が何度か開いたのを見たのですが、その時間はほんの短いものでした。

 そこで、二人は縄などを使って真珠貝を捕らえる方法を考えました。


 そして夕方が訪れ、真珠貝の口が開き始めました。

 二人は大きな石に縄をかけ、真珠貝の開いた口に真珠を傷つけないように石を落とし込みました。

 しかし、その瞬間、真珠貝の力が強くなり、縄を引き摺り込んでしまいました。


 二人は驚き、最初は何が起こっているのか分かりませんでした。

 しかし、次第に貝の真珠が縄を巻き、石ごと飲み込もうとしていたことに気付きました。

 縄を引っ張るものの、真珠貝の力が勝り、二人は湖の中に縄もろとも引きずり込まれていきました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る