第7話 龍宮王国
ツチマルヒコが船に戻ったとき、遠くに小さな島が見えてきました。
おそらく、あの島がマガタマ姫の水晶が示した水と食料を調達できる場所であるに違いありません。
マガタマ姫たちがたどり着いたのは、琉球王国の1つとされる小さな島でした。
現在は琉球と呼ばれていますが、実際には龍が現れる宮から由来していたのではないでしょうか…
上陸した一行は、ますます乾きを感じながら、水と食料を求めて島を探索しました。
山に差し掛かったとき遠くからの水音に救いを感じました。
水音を頼りながら進むと間もなく川にたどり着きました。
マガタマ姫たちは喉を潤し、生き返ったような気持ちになりました。
そして、少し休んでいると、後ろから声が聞こえました。
"あなたたち、何をしているのですか?" という女性の声でした。
声の主は、琉球王国からこの島を管理するシマヤヒコの娘、サザナミでした。
その後ろから、シリュウとサリュウと呼ばれるサザナミの使い人たちがすぐにやってきました。
マガタマ姫は、自分たちが天照大御神の依頼で龍の玉を取りに来たことを伝えました。
すると、サザナミは怒りを露わにしました。「龍は私たちの守り神です!」
と言って、シリュウとサリュウにマガタマ姫たちを捕らえさせました。
そして一行は、シマヤヒコの元へと向かうことになりました。
シマヤヒコは、話を聞いて驚きました。
琉球王国では、嵐の時には龍に生贄を捧げ、嵐を鎮めるという古くからの風習がありました。
この国は海に囲まれ、嵐が頻繁に発生する土地柄であり、そのため嵐の時には若い娘が龍の生贄として捧げられるのでした。
シマヤヒコは、マガタマ姫たちに語りました。
「もしも本当に龍の玉を手に入れることができたなら、龍は力を失い、嵐が起こっても生贄を捧げる必要がなくなるでしょう。」
龍が玉を作るのには百万年もの歳月が必要と言われています。
そして、龍が一度玉を失うと百万年間は人々の前に姿を現すことはないとされています。
マガタマ姫は、
「生贄を捧げることなど、絶対にあってはなりません! 私たちは龍の玉を手に入れるまで、戦い続けます。サザナミ様を龍の生贄にはしません。」
と強く訴えました。
ホシヒトも立ち上がり、
「私は星を見て人の生死を占うことができます。サザナミ様はまだまだ生きる力を備えていると思います。」
カゼマルヒコとツチマルヒコも
「海の上では龍の玉をもう少しで奪うことができたのです。私たちに任せてください。」
そう言ってカゼマルヒコは、龍との戦いで受けた傷を見せました。
それを見た、シマヤヒコとサザナミは驚き、
「あの龍と本当に闘うことが出来る人々がこの世にいるとは知りませんでした。その傷を治して、私たち琉球王国の支配者イシガキウミカゼノキミに会って龍との闘いの許しを得ましょう」
そして、シマヤヒコとサザナミたちはマガタマ姫たちに期待を寄せ、カゼマルヒコの治療と食糧の提供をし、とりあえず体を癒すことを告げたのでした。
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