第6話 洞窟と海の龍

 そして、あのマガタマ姫が入っていた龍の洞窟に、天照大御神とトキタマ姫は足を踏み入れました。

 洞窟の中から海の方を見ると、入り口はまるで龍の姿をかたどっているかのようで、その不思議な景色に、天照大御神は心を奪われました。

 しかし彼女は、その龍の形をより力強いものに変え、マガタマ姫たちの安全を祈願しようと考えました。

 村人たちに助けを求め、天照大御神は洞窟の入り口を力強い龍の姿に彫りあげてもらうことにしました。

 村人たちは天照大御神様の指示に従い、未来永劫まで残るように、龍を掘り上げる作業を始めました。

 やがて、洞窟の入り口は力強い龍の形に仕上がり、天照大御神はそこでマガタマ姫たちの無事を祈願し、心からの祈りを捧げたのでした。

 

 マガタマ姫たちは、鏡や剣の飾りに使う水晶を手に入れるため、龍が持つ水晶の玉を求めて、船に乗って南の海へと旅立ったのでした。

 水晶の玉を見つけるための手がかりは、マガタマ姫が持つ水晶の回転に従い、船を進めることでした。

 しかし、龍に出会うことは難しく、時間だけが過ぎていったのです。

 船の水や食料も尽きかけており、状況は極めて切迫していました。

 マガタマ姫は、みんなが命を落とす前に何とかしなければと、帰路につくことを考えました。

 そのことを皆に相談すると、カゼマルヒコが「もう少し頑張ろう!」と声をかけ、ツチマルヒコも「絶対に龍を見つけるまで、天照大御神様の元へは戻らない!」と言ったのでした。


 マガタマ姫もみんなの意気込みに心を打たれ、自らも龍を見つけて水晶を手に入れたいと、水や食料を調達できる島へ向かうことを決めました。

 彼らはマガタマ姫の水晶の動きに従い、食料を手に入れる場所へと向かいました。

 その時です。

 突如として空が黒く広がり、雷鳴と稲光が交錯し、嵐が襲いかかってきました。

 船は荒れ狂う海に揺さぶられ、マガタマ姫たちは船から投げ出されないように必死で船にしがみつきました。

 そして、その瞬間 ギュッ…という音が響き、空を見上げると、驚くべき光景が広がっていました。

 空に龍が舞い踊っているのを見つけたマガタマ姫は興奮と驚きに胸を躍らせました。

 マガタマ姫は「見つけた!」そう言って黒い空を指さしました。

 みんなは驚きながらもやっと龍を見つけたという喜びに満ち、笑顔が顔に浮かんでいました。


 ツチマルヒコは体に縄を繋ぎ、嵐の中の海に降りて行きます。

 そして、海の水が舞い上がり、龍を包み込みます。

 一方、カゼマルヒコは嵐の風に身を委ね、龍に向かって勇敢に進んでいったのです。

 風をたどって進むカゼマルヒコを、ツチマルヒコは海水を打ちつけることで手助けしました。

 海水は龍の玉に当たりますが、それでも龍の手から玉が離れることはありません。

 カゼマルヒコは龍の玉を握る手にしがみつき、玉を手に入れようと試みますが、龍の手は素早く回転し、カゼマルヒコは振り落とされてしまいました。

 そして、海へと落ちる寸前、龍の鋭い爪がカゼマルヒコに迫りました。

 龍の爪がカゼマルヒコの肩に触れようとするその瞬間、カゼマルヒコは風に乗り、巧みに龍の攻撃をかわしました。

 しかし、爪はカゼマルヒコの肩をかすめ、海へと落ちていきました。


 マガタマ姫とホシヒトは必死にカゼマルヒコを救い出し、船に引き上げました。

その時には、龍は空へと消えていったのでした。


 

 

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