第2話 一縷の望み


 マガタマは海の近くまで辿り着き、ダウジングで水晶を見つけようとしていました。

 水晶は力強く回転し始め、マガタマは、近くに水晶があると確信しました。

 しかし、海の近くの崖のそばに水晶があることがわかり、近づくのが難しい状況でした。


 そこでマガタマは、体に縄を巻きつけ、木に結び付けて崖を降りることにしました。

 しかし、崖を半分降りた時、突然体が宙に浮いたかと思うと、崖から落ちてしまいました。

 木に結びつけていた縄がほどけて、海に落ちてしまったのでした。

 必死にもがいた末、マガタマは洞穴のある岸まで辿り着き、気を失いました。

 気がついたときには、夕暮れの夜で波の音だけが耳に響いていました。

 身体の至る所が痛くて立ち上がることすらできません。

 マガタマは水晶と一緒に持ってきていた水を飲み、再び眠りについたのでした。

 そして翌朝、海の水が身体を濡らしたときに再び目を覚まし、立ち上がろうとしたのですが足が痛くて動かないのです。

 仕方なく、助けを呼ぶために大きな声を出しましたが、波の音にかき消されて崖の上までは全く届きません。

 このままではマガタマの命も何日持つか分かりません。

 もう、自分は死ぬかもしれない…と思っていました。

 マガタマは絶体絶命の状況に立たされていました。

 日に日に命の限界を感じながら、動くこともままならず、食べ物も水も底をつきつつあったのです。

 しかし、マガタマは命を繋ごうと諦めることなく最後の一縷いちるの望みを抱いていました。

 残り僅かな水を少しずつ飲んでいる時、遠くから頭に角のある大きな魚が洞穴に向かって迫ってきました。

 マガタマはその巨大な魚に襲われる!と恐れましたが、ふと村人たちが語っていた話を思い出しました。

自分が持っていた水晶の力を使うことができるかもしれないと。

 決意を固めたマガタマは、手にしていた水晶を握りしめ、魚が近づいてきた瞬間、それを魚めがけて投げつけました。

 すると、水晶に光が当たり、その光が魚に届くと、驚くべきことが起こりました。

 魚はマガタマの前で急に動かなくなったのです。

 マガタマは「助かった」と思いながらも、この大きな魚を食べなければ生き延びることはできないと考えました。

 あまり気が乗らないと思いながらも、空腹にも耐えられず、持っていたもう一つのとがった水晶を使って魚を切り、口にしたのです。

 その魚が後に「ダグ」という貴重な薬となるものだとは、その時はまだマガタマには分からなかったのです。

 雨水を飲みながら喉の渇きを癒し、魚の角を水晶で調べた後、安全である右回転の角だと確認してマガタマはそれを口にしたのです。

 すると、マガタマはみるみる体調が良くなり始めました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る