か行

「か」

Column1 「風のうわさ」という言い方はない?

 今回は「風のうわさ」について考えてみようと思います。


     ☆


 ——風のうわさで聞いた話なんだけど、あの人、転職したらしいよ。


 上記の例文で注目すべきは「風のうわさ」なのですが、このような会話をどこかで聞いたことはあるでしょうか。

 

 私は何度か耳にしたことがあって、長らく「風のうわさ」という言い回しがあるのだと思っていたのですが、調べてみると「風の便たより」と「うわさ」が混同した言い方のようです。 


 いつから「風のうわさ」と言い始めたのか、どこで始まったのかまでは分かりませんでしたが、私の周囲の人たちはよく「風のうわさ」と口にしています。一方の、「風の便り」と言っている人はあまり聞いたことがありません(笑)


 そのため、辞書のなかでも「風の噂」という言い方を認めているものもありましたが(『大辞林4.0』のみ)、全体的に見ると「注意するもの」もしくは「誤り」してあげているか(『三省堂新現代国語辞典 第六版』『明鏡国語辞典 第三版』)、そもそも項目に載せていないものがほとんどでした。


 ここから考えると、今はまだ「風の便り」もしくは「噂」と使う方が無難かなとは思います。



◇掲載場所◇

『NIHONGO ‐Ⅱ‐』2022年―8月―Column2

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