Column2 「おもたせ」は「もらったお土産」の尊敬語
今回は「おもたせ」の使い方について、取り上げようと思います。
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数年前の話です。食品を扱うサイトを検索していたときのこと、「おもたせ」という言葉が、下記のように使われているのを見ました。
――日持ちのよさから、おもたせにもぴったりです。
「おもたせ」とは、「もらったお土産」の尊敬語です。
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【おもたせ】『三省堂国語辞典 第八版』
相手の持ってきた おみやげの食べ物に対する尊敬語。[相手にすぐに出すときに言う]
「おもたせで恐縮ですが、どうぞ」
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『三省堂国語辞典 第八版』の例文にもありますが、お土産をもらった人がそれを持参した人に出すときに使うので、食べ物のお土産に対して使われます。
さて。
「日持ちのよさから、おもたせにもぴったりです」というキャッチコピーに戻りましょう。察するに、商品を買った人が、お土産として持って行くものについて敬っているのだと思います。
しかし、この使い方は本来誤りです。
それは「もらったお土産」に対して使う尊敬語を、自分自身(お店側からすればお客さまなのですが……)のお土産に対して使っているから。敬語の仕組みを考えると、敬う相手が誤っていることになります。
ですが最近は、例文にあげたような、「お土産」として買われる商品のキャッチコピーに入っていることが増えてきているそうです。
個人的には「おもたせ」を「自分が持って行くお土産」として使うのは違和感があるなぁ……と思いますが、皆さんはどう感じるでしょうか。
◇掲載場所◇
『ことば』2023年―9月―Column5
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