Column2 「后」と「妃」の違い
今回は「
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「后」と「妃」は、どちらも身分の高い人の「妻」を指します。
「后」は元々、「天子」「帝王」など王を表わす漢字でした。
この漢字の成り立ちの一説に、「口と人から成り、人に命令を発する者の意から『きみ』の意を表す」(『新字源』参照)とあり、王のことを指していたことが分かります。
その後に「皇后」という言葉が生まれ、王・皇帝・天皇の正妻ことを言うようになりました。
一方で「妃」は、一般的に「妻」を表した言葉でしたが、後に王族や皇族の妻のことを指すときに使うようになりました。
では、「妃」と「后」との違いは何かというと、「『妃』の中の特別な一人が『后』」といえます。(『漢字使い分けときあかし辞典』参照)
しかし、そうは言ってもどう使い分けたらいいのか、何となく分かりにくいですよね。そのため、具体例を挙げてもう少し説明してみようと思います。
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とある王国の王様には、二人の妻がいます。
王様の正妻は「后」、もう一人の妻(=側室)は「妃」と表記します。
また王様には弟がいました。
弟の正妻は「妃」と表記します。
王様には子どもがいて、どちらも息子でした。
息子たちも二人とも結婚していたので、彼らの妻は「妃」と表記します。
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この例文を見ると分かるかと思いますが、「王様の正妻」以外の王族関係の妻になった者は、全員「妃」と表記されるということです。
しかし、例外があります。
先王の妻(=王様の母親)です。彼女は元「后」でした。
そのため、彼女は「后」もしくは「皇太后」と表記します。日本では「上皇后さま」といいますよね。
先王の妻は、「皇后」「后」といわれ「『妃』のなかでも特別」な存在でした。ですから「皇太后」と表記される――というわけです。
◇掲載場所◇
『NIHONGO ‐Ⅱ‐』2022年―5月―Column1
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