「う」
Column1 「蘊蓄をたれる(垂れる)/ひけらかす」?
今回は「
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皆さんは、「蘊蓄をたれる」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
よく、「何かの知識や学問のことばかり語ること」を「自慢する」とか「見せびらかす」という意味で使われることがありますが、それは誤用です。
今回は、その理由について考えみようと思います。
そもそも「蘊蓄」とは何なのでしょうか。
「蘊蓄」の「蘊(もしくは「薀」)」という漢字には、「たくわえる」という意味があります。つまり「蘊蓄」とは「学問や技芸の深い知識」や「十分研究を積んでたくわえた、学問・技芸の深い知識」のことを指すのです。
次に「たれる」を考えてみましょう。
「たれる」は「垂れる」と書き、「『言う』を
「蘊蓄を垂れやがって生意気だ!」という使い方を想定しているのであれば、単純に「学問などの知識を言いやがって生意気だ!」となります。文章の繋がり方としては間違っていないような感覚がありますが、「蘊蓄」には「十分研究を積んでたくわえた、学問・技芸の深い知識」なので、披露したからといって馬鹿にしたり
よって「蘊蓄をたれる」とするのは誤用なのです。
それなら、「蘊蓄」はどういう風に使うのが適切なのでしょうか。
複数の国語辞書を引いてみたところ、「蘊蓄を
しかし、私の周囲の人たちを見ていると「蘊蓄をたれる」という風に使っている人が多く、「蘊蓄を傾ける」と使っている人は中々いません。それくらい「蘊蓄をたれる」が広まっているのかなと個人的には思います。
ただ、今のところ新しい意味や使い方を積極的に取り入れている『三省堂国語辞典』でさえ、それらの例文の記載がないことから、一般的な使い方ではないと考えられそうです。
もし誰かが知識の自慢をしてきたならば、「知識をひけらかす」とか「
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◇掲載場所◇
『NIHONGO ‐Ⅱ‐』2022年―6月―Column7
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