Column4 「元旦の朝」と言えないって本当?
今回は、「年始にまつわる言葉」のお話をしようと思います。
☆
――元旦の朝。
新年が明けたときに、この言葉を使う方もいらっしゃるかもしれません。
実は「元旦の朝」という言い方は、
では、何故「元旦の朝」と言えないのでしょうか。一つずつ見ていきましょう。
「元旦」とは「元日の朝」のこと。「旦」が早朝のことを示しているんですね。
そのため、「元旦の朝」と書いてしまうと「元日の朝朝」と「朝」が重なってしまい、重言になってしまうのです。
ちなみに、新しい言葉や意味を積極的に取り入れる『三省堂国語辞典 第八版』は、他の辞書とは違う解釈を載せておりました。
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【元旦】『三省堂国語辞典 第八版』
①元日の朝。元朝。
②元日。
②は昔から例があり、漢字の意味とも合うが、今では違和感を持つ人もいる。
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「②に違和感を持っている人が増えている」と書いてありますね。
つまり「昔の人は『元旦=元日』として使っていても気にしなかったのに、最近の人が「元旦」の使い方に神経を尖らせている」というわけです。
他の辞書(『明鏡国語辞典 第三版』『デジタル大辞泉』『岩波国語辞典 第八版』)を見た限り、「『元旦』を『元日』として捉えるのは厳密には正しくない」としているので、意外な見解だと思います。
それから『新明解国語辞典 第八版』『新選国語辞典 第十版』『旺文社国語辞典 第十一版』の「元旦」の項目には、語釈に「元日」が載っていたので、辞書によっては明確に区分していないものもあるようです。
このことから考えるに、「元旦」は「元日の朝」と捉えるのがどちらかというと正確ではあるものの、普段誰かと話す分には「元旦=元日」として捉えても問題ないのかなと考えます。
以上、「元旦」のお話でした。
◇掲載場所◇
『NIHONGO』2021年―12月―Column7
【復習】
*1
重言……同じ意味の語を重ねて言う言い方。ここでは、「言葉を重ねて使う意味がない、表現が冗長となるなど、一般に不適切とされるもの」という意味で使っています。(『明鏡国語辞典 第三版』より引用)
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