ま行

「ま」

Column1 「真逆」について

 今回は、「真逆」という言葉について取り上げようと思います。


     ☆


 皆さんは、「真逆」という言葉は使うでしょうか。


「真逆」は、今世紀になってから広まった言葉なのですが、実はよく見ると「変な使い方」なのです。


「逆」というのは、そもそも「反対」のことを言っているので、「」をつけなくとも「逆」のことを示しているんですよね。


 では何故、「」を付けるのかというと、「逆」を強調した言い方だからです。


「真逆」が生まれる前まで、「逆」を強調するときは「まったく」とか「まるっきり」などが使われていたそうなのですが、「」をつけることによって「真逆」という言葉が生まれたとかなんとか……。というのは、経緯ははっきりと分かっていないのです。


」とは、接頭語に属し「本当に」「完全に」などと程度を強調します。


「接頭語」というと見慣れない感じですが、「真っ黒」や「真っ白」など色の程度にも使われていると知るときっと親近感がわくのではないでしょうか。


 単なる「逆」ではなく、強く「逆」であることを表現したいために、生まれた言葉。最近は「ギガ」や「鬼」というのも使われることがありますが、人々は言葉を強めることが好きなようですね。


 ちなみに、「まさか〜するとは思わなかった」というときに使われる「まさか」も「真逆」と書きます。


「まさか」を漢字で書く人は少ないとは思いますが、「まぎゃく」も「まさか」も「真逆」と書いていたらちょっとややこしいですよね。


 言葉ができた経緯も意味も違うのに、表記が同じという言葉は日本語に多いなと思います。こういうところも面白いところですね。



◇掲載場所◇

『NIHONGO』2021年―8月―Episode11

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