Column2 「ぞっとしない」は「怖くない」という意味ではない?
今回は、「ぞっとする」の否定形である、「ぞっとしない」の意味について取り上げようと思います。
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怖いものを見たときや感じたとき、またそれによって寒さを伴ったとき「ぞっとする」という表現を用いますよね。一方で、怖くないとき「ぞっとしない」という風に使うことはあるでしょうか。
実は「ぞっとしない」という言葉には、怖いものを見たときや感じたときに感じる感覚を否定する意味はありません。つまり「ぞっとしない」と言っても、「怖くない」という意味にはならないのです。
「ぞっとしない」という言葉を使うときは、次のような場合に用いることができます。
――ぞっとしない作品だ。
——ぞっとしないアイディアだ。
意味は「感動しない」とか「面白くない」です。つまり、「感動しない作品だ」「面白くないアイディアだ」ということを例文ではいっていることになります。
恐怖によって体が震えるような感覚を表現する「ぞっとする」ですが、否定形にしても、「怖くない」とはならず別の意味になるため、使うときは注意が必要です。
ちなみに「ぞっとする」の主な意味は「恐怖によってふるえあがる感じ」という意味ですが、「美しいものを見たり感動したときにも用いられる表現」として取り上げている辞書もありました。一応、下記に整理しておきます。
●「ぞっとする」の意味に「恐怖によってふるえあがる感じ」以外にも、「美しいものを見たり感動したときにも用いられる表現」という意味を取り上げている辞書。
『明鏡国語辞典 第三版』『三省堂国語辞典 第八版』『大辞林4.0』『デジタル大辞泉』『精選版 日本国語大辞典』
この意味があるのは、きっと「ぞっとしない」に「感動しない」という意味があるかだろうと推察します。
しかしどちらかというと「ぞっとする」は「恐怖によってふるえあがる感じ」として捉えられていることの方が多いと思うので、「美しいものを見たり感動したとき」に用いる場合は、読者に誤解されないように前後の文章を工夫する必要があるかなと思います。
◇掲載場所◇
『NIHONGO ‐Ⅱ‐』2022年―6月―Column8
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