Column3 「小春日和」はいつの時期に使うもの?

 今回は、「小春日和」について取り上げようと思います。


     ☆


 ――初冬の頃、天気予報士が「ここ数日は、小春日和の日々が続いていますね」と言った。


 上記の例文を読んで、「あれ?」と思った方はいるでしょうか。

「冬なのに、『小春日和』という言葉を使っているのは間違いじゃない?」と。


 ですが、「小春日和」を辞書で調べると「初冬のころの、暖かくて穏やかな天気(『明鏡国語辞典 第三版』)」と出てきます。


「初冬」とは旧暦の十月のこと。現在で言うと十一月から十二月の上旬のことですから、まさに今時期の春のような陽気の日のことを指します。


 平成26年度の文化庁が発表した「国語に関する世論調査」では、本来の意味ではない「春先の頃の、穏やかで温かな天気」という意味で捉えられている人が41.7%、正しい意味で認識していた人は51.7%でした。

 意外にも多くの人が、「小春日和」を本来の意味ではない方で捉えていることが分かります。


「小春日和」は「春」という言葉が入っているので、春の日に使いがちです。

 ですが、初冬である今の時期にこそ使える言葉ですので、機会があれば使ってみてほしいなと思います。



◇掲載場所◇

『NIHONGO ‐Ⅱ‐』2022年―11月―Column5

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